第149話 試し合い
左ジャブからの右ストレート、岩田はガード、右フックはボディを狙い、腹筋を入れているがもろに受ける。
しかし、岩田は、右のフックを返す。
それは、虚しく空を切り、石森はお返しに左のストレートを顔面にお見舞いする。
(流石だ)
昔から、憧れていた石森陽、歳下だが類まれなるボクシングの才能に人を魅了するルックス、チャンピオンになった時には、マスコミでも特集が組まれていた。
自分の時には、深夜のニュースで10分程だったなと岩田は思い出す。
岩田は、破れかぶれのアッパーを繰り出すが、それも空をきる。
石森が事故にあったニュースを見た時には、岩田は人生で何度も味わった後悔をした事を思い出した。
練習でもスパーでも手を合わせればよかったと。
しかし、石森はカムバックする事も信じていた。
その時には、どんな手を使ってでも対戦する。
岩田は、間をつめて左右のフック石森はあえてガードをして威力を確かめる。
インパクトもあり、いい拳だ、石森はそう思い、同じように左右のフックを返す。
ルール無用の試合をしているようには見えない、二人はボクシング技術の試し合いをしているようだった。
石森は笑顔を浮かべている。
櫂は、嬉しそうな石森を見て、何故か自分も笑みを浮かべた。
岩田の攻撃は殆ど空を切る、当てられたのは敢えて打たせようなブロックの上、ダメージも抜けていない岩田の攻撃は、致命打どころかダメージすら与える事は出来ない。
(そりゃそうなるよな)
櫂は、二人を見守る。
石森の打撃は、岩田を一気に倒せる威力を持っているし、実際は倒す打撃を入れている、しかし、なかなか岩田の心は切れない。
左のアッパーは、まさにドンピシャのタイミングで捉え、尻もちをつかせた。
これで終わりだな、皆が思うなか、岩田は諦めずに、立ち上がる。
呼吸も荒く、身体には痛みを覆う、勝ち目ない、セコンドは目で訴えていた。
そんな事は本人な一番理解していた。
だが、まだ終わりにしたくない。
両の手のグローブを叩き、岩田は、石森にかかってこいとアピールする。
その気迫に、石森に気迫で迎える。
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