第111話 全力
打撃は、8分を過ぎて、九条の打撃は少しずつガードを崩していく。
(だげきぼうぎょも、していない、ただぼうだちでなぐられてるだけだ)
数発に一発は、ガードを擦りぬけていく、威力は軽減されているが、ダメージは積み重ねられていく、しかし、無尽蔵に思えた九条のスタミナも衰えが、その攻撃力の低下から天外は終わりが近い事を感じていた。
(流石に威力が落ちてきたな、そろそろ厳しかったが、終わりが近いな)
(打ち終わりがお前の終わりだ)
九条は、自身の疲れを認め、無造作の打撃の中に一つ、威力を込めた一撃、顔面を狙い、長い連打を終えた。
その一撃で、天外の頭は大きく揺れ、コーナーにもたれかかる。
(勝負あり)
誰もが、そう思ったが九条はバックステップし、距離を図った。
「何をしている、トドメをさせ」
セコンドの扇は、大声で叫ぶ。
九条は、肩で呼吸をしている、流石に打ち込み過ぎたのと、最後の一撃はいなされていた事を理解していたからだ。
スリッピングアウェー
天外は、最後の一撃をギリギリで躱し、相手の追撃を誘ったのだが、九条はあたりが浅いので場を離れた。
天外は、自分のダメージを確認し、回復を図りたかったが、言葉を出すことを警戒もしたか、予想外に九条から話をかけてきた。
「噂以上の実力だな、俺の連打を耐えたのた過去に1人しかいないぞ」
天外は鼻で笑い、移動せずに、コーナーに持たれながら答える。
「こういう時は、初めてっていうもんだぞ」
(コーナーに追い詰めているのに、追撃よりも回復を選ぶのは相手もキツイ証拠だな)
天外は大きく深呼吸して、大袈裟に大声で叫ぶ。
「まったく、予想外はこっちも同じだ、次の試合に備えて、ダメージ無しで、技も隠して勝ち進みたかったんだからな、でも、まぁ仕方ない、ここからが本番だ」
「手加減していたみたいな言い方だな」
今度は、九条が鼻で笑う。
「本気ではあったが、『後』を考えて戦っていたが、お前が予想以上に強いからな、次に備えて戦って負けでもしたら本末転倒だ」
初戦を見て回復不能のダメージは喰らいたくないとは思ったが、ダメージを最小限にするならこちらもそれなりの覚悟をしないと天外は腹をくくった。
「本気でやっても結果は変わらないと思うがな」
九条もまた、次の『陸』『阿修羅』の事は頭から消す、敵対するが、天外と気持ちは同じだ。
(この相手を全力で倒しきる)
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