第32話 過去 後編 完結編
記者の亀井は、背中に後ろ寒さを感じた。
「そんな話信じられない、囚人同士の喧嘩を看守が止めないなんて事ありえない」
最も意見だが、帝釈は、それは俺が知らんといった様子だ。
「気になるなら帰りに聞けばいい、『なんで喧嘩を止めないんだ』ってな」
嘘をついてるようには見えなかった、しかし、刑務所内でこんな事が起きてるなんて、記事にすればスクープだ、だが、一つの疑問もある。
帝釈は、隠しもせず全てを話して話していた、なのに、世間にこの話が出た事はない。
記者の亀井は、この記事にするのは、リスクを感じ、もう一つの仕事の方に意識を向ける。
この取材の費用を全て持ってもらい、段取りも全てしてくれた依頼人の伝言、質問を伝える事に。
「帝釈さん、あなた、まだ戦えますか」
帝釈は、ニヤリと笑う。
「俺の戦いは殺し合いだ、もし、それでよければいつでも戦える」
「いや、殺し合いではない、ある一定のルールの中での試合ではどうです」
帝釈は困った様な様子で口を開く。
「そうだな、『殺さずに戦う』なら、ある程度時間がほしいとうのが本音だな」
その言葉を聞いて、記者の亀井は席を立つ。
扉を開けると看守が立っていた、冷たい目の看守だ。
(なぜ帝釈の喧嘩を止めなかったのか)
心の中で、その質問をぶつけたかったが無意味に思えて口をつぐんだ。
あとの仕事は、依頼人に帝釈の事を伝えるだけ、それが竣れば経費で少し良いものを食べてこの件は終わりにしようそう思っていた。
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