得意の技能(スキル)が死んだ俺は、所属の組織(パーティー)から追い出されたが、代わりの最強技能(スーパースキル)が目覚めたので、新しい冒険生活(ライフ)を送る事にした
第1話 スキルが死んだ。そして、パーティーからも追い出された 1
得意の技能(スキル)が死んだ俺は、所属の組織(パーティー)から追い出されたが、代わりの最強技能(スーパースキル)が目覚めたので、新しい冒険生活(ライフ)を送る事にした
読み方は自由
第1話 スキルが死んだ。そして、パーティーからも追い出された 1
スキルが死んだ。それも、突然に死んだ。夕暮れが美しい森の中で、目の前のモンスターに剣を振るおうとした瞬間、身体の中からスッと消えてしまった。
周りの仲間達も驚いている。
組織の頭目も、驚いている。
仲間達は森の怪物達を倒した後も、無言で俺の事を眺めていた。
俺は、それらの目から視線を逸らした。
みんなの目を見ていられない。どんなに頑張って視線を戻そうとしても、さっきの衝撃がまた蘇って、地面の上をまだ見つづけてしまった。
俺は、今の状況に混乱した。「自分に一体、何が起こったのだろう?」ってね。腰の鞘に剣を戻して、周りの仲間達に助けを求めたが、仲間達も何が起こったのかまったく分かっておらず、頭目のマティを除いては、残り全員が互いの顔をただ見あっていった。
俺は、その光景に打ちふるえた。
「な、何でもいいから! 何か、言ってくれよ!」
そうでなきゃ、頭がもっと混乱してしまう。
目の前の景色がかすんでしまう。
目の前の景色は今も美しかったが、それもだんだんと消えていってしまった。
俺は頭目の男に呼ばれて、組織の面々から少し離された。
「話がある」
それが最初の一言。倒木の上に座らされて、今も立っているマティから言われた事だった。
マティは俺の顔をチラチラと見たが、それも数秒くらいで終わってしまい、俺が彼に「あ、あの!」と話しかけた時にはもう、俺の隣に腰を降ろしていた。
「困ったな」
ああ、本当に。俺も本気で、困っている。
「まさか、
本当に信じられないよな? 俺だって、いまだに信じられない。
身体の中から気配、スキルが死んだ感覚は。ステータスの画面が突然に現れて、スキルの項目が砂嵐に紛れ、それから横棒の表示が見えた時は。
横棒の表示は、スキル無し。「特殊なスキルをまったく持っていない」と言う表示だ。「それが現れた」と言う事は、「
剣士を志す者なら必ず欲しがるスキル、「超剣士」のスキルが「消えてしまった」と言う事だ。超剣士のスキルが消えたのなら……俺は。
「用無しだ」
無慈悲な一言。それを言ったのはもちろん、隣の男だ。
彼は、他人のステータスを視られる。「ステータス透視」と呼ばれるスキルで、自分はもちろん、その仲間達にも任意の個人、あるいは、集団にも自分が選んだ特定人物、もしくは、集団のステータスを伝えたり、見せたりする事もできるのだ。
つまりは、ステータスの情報共有を可能化するスキル。
彼のような人間には、「最高」とも言えるスキルだった。それを持っている彼から「用無し」と言われたのなら、それは文字通りの追放を意味する。
「嫌です」
返事なし。
「このギルドから出ていきたくない」
またも、返事なし。
「俺は、このギルドを」
それを遮ったのは、マティではない。俺達の前に突然現れた、補佐剣士のバシリだった。バシリは俺と同じ十四歳だったが、その背丈が俺よりも少し高い事もあって、上から俺の事を見おろすと、それがいつも以上に高く見えた。
「しつけぇな! リーダーが『要らない』って言っているんだから、さっさと出ていけよ!」
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