五話 カビ話。翌の日のクソガキと腐れ仕置き
「ふむ。で、
「あ?」
「式がつけばこの邑を捨てられるんぢゃろ」
思ってもみない提案だったが、私はもう一度
私からなにもかも奪ったのはこの邑と大凶作と
唯一、私が思えて
感謝している。でも、好きになれない。どうして、私を生かしたの? そう訊きたいくらい私は惨めだ。いっそあの時死なせてくれていればよかった。何度もそう考えた。
そうして寝床を編み直す傍ら月の話を聞き流してその日は早めに就寝した。月は座布団でそのまま丸くなったので居つくつもりでいるのだろうか。ぼんやり考えて眠った。
翌日、私は月にうるさくされながら
それに対して大人から感謝があったことはない。別になくてもいいが、さも当然というような顔をされるのは腹が立つものだな。そして、邑のガキ共もいつも通りだった。
「やい、
「……」
妖力水を調合するのは疲れる。体の妖気を持っていかれるんだから当然だ。そいつをずいぶんと軽く言ってくれる。てめえらが
わざわざ私を捕まえて言う、ということは私を
「てめえらでやれよ」
「はあ? 生かされている身で」
「私はなにもなくとも生きていける。てめえらは生きる為の
「……っ」
痛いところを衝かれたガキは黙り込んだが、すぐさま身を
私は仕置きにすら慣れ、どうでもいいことで、ここで、この邑で生きる限り続く腐れ
そんなことに気づいてしまっていた。きっと
そのクセ
鬼の力に頼らねば仕事のひとつもできないどころかしない、というふざけた
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