一四七話 届けられた「后」としての仕事
「
「さあて。
陽が暮れていく。赤焼けの空に青紫が
すぐに
なーんて、苦しい
で、食前酒を一口含んだ私に別のあやかし
驚きの内容すぎて私、石になった? とか思っちゃったくらいびっくり固まった。
そこに書かれていたのは「近いうちに顔あわせをしてしまいなさい」っつーような内容でした。……これはアレだな。戦後の、私がやるべき処理は全部殿下に押しつけろ。
その上で
いやまあ、うん。いつかは顔をあわせねばならないというのはわかっているし、そうしなきゃ殿下が延々とお預け喰らい続ける。わかるけど、私、
顔あわせ、といってもただ挨拶しておしまい、ではないだろうし。一応それなりにもてなさねばならないだろう。こればかりは私の、
と、なるんだろうからやるしかない。私は赤蕾に陛下からの切れ端木簡を預けて芽衣が毒味を終えるまでに四夫人の名簿、というのに目を通しておくことにしたわけだが。
ふむ。
軽くだが、人相の特徴と名前が書かれているので照合していく。この
西の遊牧の民は
だから皇后陛下がぷんす、としていらしたのだろうか。いや、あのひとも人種差別はなさらないのでなにか他に理由があるのかな。だって、殿下だし。しょうもないこと?
そういう手のことを言って
うむ。この名簿だけではやはり判じかねる。私は月に頼んで各
私も合掌して食事をはじめる。前菜、
待っていた月に頼んで文を書きはじめる。月は
うん、なんだ。月
文の添削を手伝ってもらったので
どんな茶を振る舞って、菓子はどうするか。それだけとりあえず決めておこう。そう思ったので必要な品を書きだして、こちらの手配は
普通だったらこんな
「
「ありがとう。仕事が早いな」
「恐縮です、
「そうだな。……んー」
私が窓の外を見て唸ると秋穹ははて、と首を傾げて私が見る先を見た。雲ひとつない空には星と半月が光を放ち、輝いている。月が言うには月光のアレはたんなる太陽光のうんたらで特別惹かれる意味がわからん、だのだったが諸々台無しになるので無視した。
綺麗なものを綺麗だ、と思ってなにが悪い。いや、悪いとはまでは言っていないがでもいちゃもん紛いをつけるのはやめてくれ。なんか神秘的な空気が薄れてしまうだろ。
でも、な。皇后陛下主催の茶会は朝から昼前にかけてだったが、それに倣う必要もないだろう。というわけで思いついたことを相談すると秋穹はすぐ新しい提案をして、入用になる品物を一覧にしてくれたので私が最終確認をして、その日までに発注を頼んだ。
で、いい時間になったので侍女たちと月に少しだけ先の予定を話してから就寝解散を言い渡し、私も寝室に引っ込んだ。で、大きな鏡の嵌まった鏡台に面を置いて寝台へ。
就寝着に着替えて布団にもぐった。さて、将軍としての忙しさが去ったので今度は后候補として妃たちに会う支度に忙しくしなければ。忙しいがその多忙さもまた
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