七〇話 遅刻者を待つ無駄、しないらしい
「かけていていいわ、
「え。え、でも私は」
「よいのです。時間に来ないのが悪いので」
ぴしゃり。いつだったか私の
時間に、指定した時間に来ないのが悪いのだからという理由で私に席をすすめてくれた
私の念入り用心、というかカチコチぶりに
ただでさえ会ったことがない上に殿下の評判が悪い
緊張しないなんてどういう
「涼しくなってきたわねえ」
「ええ。幾分すごしやすくなって」
「そろそろ秋の花が植わる頃かしら」
「あら、一番の花ならそこにいるわよ?」
「まあ、そうでしたわ」
なぜだ。なぜ
御三方にはなにか見えているのか? なんて私が当たり前に「普通」のことを考えていると
が、それは
ぶっちゃけ気にしていない、のだ。私如きの視線に刺されても蟲刺され以下に覚えているに決まっているわけだし。こいつに関してはもう、気にするだけ損な思いをする。
ヂヂヂ、と火花散らして月を睨むも月は我関せずとばかりなので私の方が折れる。
で、そうこうしている間に侍女のひとり、皇后陛下お付の
あれ? つまりなにか、遅刻したのを待たずにはじめようということでしょうか?
私が
私はきょときょと周囲を見渡してから円扇を置いて茶をいただ、こうとしたが、ばっと円扇を構え直して三妃に「はい?」みたいに見られたけど。でも、だってさ……っ!
庭の緑を踏まないよう道に敷かれた
彼女の視線が動いたのが大気中の水の動きでわかったので私の心臓は
「皇后陛下、あたくしたちがまだですー」
「……見知らぬ顔が、顔すら見えんな」
うわー、うわー。これはいろんな意味で危険。殿下なんかなんとなくあなたがやめておいた方がいいと言った意味がもうすでにわかった気がするぞ。この感じ、苦手人種!
と、いうか最初に口開いたの。皇后陛下に文句つけたのか? てめえが遅刻しておいてなぜ皇后陛下が悪いような言い方? 意味がわからないんだけどこれ私の気のせい?
そして後攻(?)のひと。顔が見えんってそれはどうもすみませんが、ダメなんだよやっぱり私こういうの。つか、異様にぶっきらぼうというか、無愛想っぽい感じだな。
「はて。時間はとうにすぎておりますのに一向に来ないものですから無断欠席かと」
「そんなー。ただ準備に手間取ってしまっただけですわあ。陛下、あたくしはー飾り気のあまりおありにならない、女であることをお忘れ気味のあなた様と違うのですよお」
「そうですか。
「ふふ、そんなお顔の陛下はあたくしが
「あら。どんなお顔かしらね」
えーっと。これは
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