久しい故郷、だったけど
二〇八話 長く短い旅路の先にあった光景
約束を示したからには絶対に守る。破ったりしたらまず間違いなく各
だから絶対に、死なない。そして、身も心も売らない。私がやるべきは、ひとつ。
その為に私ひとりが
ひとつだけ神頼みならぬ
短い間のことだ、と言い聞かせようと離れてしまうのは淋しいし、名残惜しくなってしまうから思いを残さない。未練を残さない。心も一緒に強く抱いて持っていき帰る。
――必ず、帰りますからね、殿下。
待っていて。そして、普通の女が味わう不安を少しでも味わってみるのも
それが他の
今回違うのは私は
馬を走らせて
ちと
ポリポリ、カリカリ。人参が噛み砕かれ、というか噛み潰される音が耳に心地よく響いていく。雷天は一回のポリポリで満足した様子。なので、私も再び
その先、道中は平和そのものだった。ほんの少々、一年の旅路で見ていなかった皇都から
予定通り一〇日とかからず、八日と
そりゃあ、単純な往復時間だけで一日潰れるなら誰だって楽をしたいでしょうね。
実際に水を
この時やつらに
あいつらの頭がおかしいのは今に、というか過去にはじまったことじゃなかったのは知っているっつーか知っていたつもりだった。……が、
なんだ、あの
離れたここからでも見える
これで
なるほど。鬼の娘がここにいた、という証言をくれた邑の連中に
なんて、ちょろいやつら。ただ、私は生まれた瞬間からこの邑の「人間」ではなかったので
普通の神経だったら羞恥と
でも、そうしない。と、いうことはやつらには
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