五一話 服飾決まったし、戦事のそれを見に
で、一通り終わったようだし
「ほお、お目が高い」
「え?」
室に入ってすぐのところに飾ってあった
「そちらの品は
「妖作……どんなふうに?」
「鍛冶は火を扱う職だ。それの影響が残っていて、火の加護が強くて水にうんと弱いというか濡れるとふざけているのか、と文句をつけるほど軽くなっちまう、という話だ」
この場で待っていたおそらく
「へえ、じゃあ、
「? まあ、そうだが。金属製の武器は一切刃先寸分たりと通しゃあしねえ、とよ。なんだいなんだい、お后様だっていうからもっとお高く留まっているかと思えばこりゃ」
そりゃあ「らしく」なくて悪かったな。ご期待に沿えなくて。でも、これは私にうってつけの品だ。殿下、わかっていて選んだ、んだろうな。絶対そうだ。私に宿る
それが嬉しい、と感じられるのは
でも、わかっている。ずっと親愛の情すら与えられずいただけ情や愛に飢えているということくらい。だから期待、してしまう。殿下に想ってもらえたら幸せだろうかと。
不釣りあいなのは、
きっと天にのぼる心地となって喜ぶ。それすら目に見えるようで我ながら呆れる。
ずっと、虐げられていたし、利用されることだけを目的に
そのことでひとを
望んじゃいけない。なのに……――。「
……なんて、醜い。独占したい、だなんて思っちゃいけない
「この品、私にあわせられるか?」
「お? お后だと聞いたがずいぶん逞しい」
「できないのか、高?」
「! できるさ。してみせましょう。この鍛冶職人、高家の名に懸けて、必ずや!」
高家の鴻永は私に正体がバレていたことに一瞬だけ虚を衝かれた様子だったがすぐさま私を戦に通じようとする
私は要望を伝えておく。手は最低限の防御でいいことと妖作だと当人が言っていたそいつを基礎にして構成やなんかは高の手腕を見込んで任せるし、出来が悪ければ遠慮なくやり直させる、とも。高は私の男前な
「あの気難しい
「そう。伝えておく」
「待て待て。だってよお、ここの、
うん。そりゃあ女なんてなあそんなもんだと熟知していないてめえが悪い。女なんて時に口から、どころか口を尖らせて生まれたんじゃねえか? みたいなのだっている。
それを考えればたしかに私は異端。こうも真剣に武具と向きあっているような女。
通常ならありえない
徹底して冷徹に在りて冷静な冷酷な者が多いのに、時に荒ぶるほどの勢いで感情を爆発させる。まるで、
両陛下は、多分
てか、気難しいのか、殿下。私の前では常に尻尾ふりふりしている犬、みたいな印象があったんだが。わかりやすい、というか。素直、というか。そんな感じの
まあ、私から「殿下って犬っぽくね?」と言う気はさらっさらないので高と話を詰め終えて
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