五四話 一通り終わってばったんきゅー
「
「……えっと、あのう」
「うん? ああ、大丈夫よ。気を張るものじゃなくて
いや、それあなたが気を張らないだけで私は気が、こう、
でも、私に拒否権なんてある筈もなく、「いいかしら?」とは「それまでに徹底授業でしごきあげますから大丈夫でしょう?」という意味で取っておくべきなんだろうな。
このひと、さすがは国の母とされるだけある。ただ
水の
こんなひとに礼儀や行儀を教えてもらえるなんて最高の栄誉だ。女性として、ひととして尊敬する。公平に厳しく、優しく。冷徹な水の
つまり、三年前の
……悪かった、なあ。あんなふうに
「うああああぁぁ……」
「なあんぢゃ、やかましい」
「だって、
「図太いかと思ったそばから繊細よのう?」
うっせえ。ひとがやっと帰ってきた侍女たちの一画にある
まあ、それで月を睨めど月はもう慣れたもので「はいはい」と流されてしまった。
こいつ、私が苦悩というか
はあ、と私が深くため息を落とすと月が茶の道具一式持ってきたので
月はこういうのは好かないそうだ。なので、私が担当することになっている。昼間の
少なくとも飲める味だ。けど、な。それを思うと殿下の茶は、あの時は頭が大混乱し大混線していてわからなかったが、美味しかったんだろうか?
そうこう思いながら茶を淹れて月が飲みはじめたので私も飲む。一応、今日の授業で少し触れた通りにできるよう、復習も
月は人目がないし、
殿下と出会った、あの日のことを。それからもめくるめく日々だった、と思うが。
これから
けど、それもこれも私なんかを
私のどこにそんな魅力があるのか私が教えてほしいくらいだ。私はずっと、引水しか能がないクセ、生意気だと
そうこうして憎い懐かしさを片手に
それがなにで、なのかはわからない。元々食べないでも生きていける体だからあまりに
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