一一八話 意図が知れないながら
「おやおや、仲良しかな。どうせお前も僕の支配から
「……っ、こ、このひとにひどいこと」
「ひどい? イイコトしているだけだよ」
アレを、さっきのをイイ、と思っているのはてめえだけだっつーの、ボケ。
この脳味噌
私との口づけなんてそんないいものではないのに異様に嬉しそうなのはアレか、
じゃなきゃ、なにが目的で。なにを考えて。
別にいいけど。知りたいとも思わない。ただ、なにもできない、許容されないなら現状をしっかり確認しておかねばならない。体調。心。動作の可不可と、こいつの目的。
知らないことは、無知は愚かの極み。
「さ、こちらへおいで、
「……」
「そうそう、いいコだね」
いいコ、と言いながら腐れ皇太子は私の頭を撫でてくる。大きな手の接触が気持ち悪いのに、心のどこかが勝手に気持ちいいと判断したのか、すり、とその手に擦り寄る。
こん畜生。どうすればいい。いや、違う。今は行動の時じゃない。考えなくちゃ。
芽衣を連れてどうやって逃げる。これからいく先はどこだろう。奥の
だったら、どこへ。てか、そもそもここがどこか、どんな建物の牢施設なのかもわからない。黙って(黙らせられているが)ついていくしかない。少しでも不穏があれば。
不穏。私への、そして芽衣への不穏が欠片でもあれば逃げる
まだ仮、であれ
……まあ、この皇太子は
首輪に繫がれた鎖が軽く振られて音を立てたのを合図、当然の合図であるかのよう私が視線をあげる。と、それはどこかで
華麗な、美麗な衣の類はいつだったか嵐燦殿下が私の為に呼んだ
ぱさ、はらり。と、かすかな音を立てて布切れとなった軍装が床に降っていった。
内心の、
心死んだように。
なのに、殿下にもまだ見せたことないあられもない姿だというのにどうしてこの脳味噌
ふざけんな。で、皇太子がいようが、私の素肌をじっくり見つめていようが室内にいた商人たちはお構いなしで私に服を着せていく。
そして、装飾品類は
なんとか
心の支配はまだこの
心は、魂は目に見えない。だから、声を奪って言葉というある意味のまじないを封じたんだな。口でいやだ、と言えば体も伴って反発するようになる。……といった感じ?
まだ、歯抜けがある思考だが、ひとまずこれで終わっておこう。か、考え事するだけでこんなに疲れるとかどういう反則的威力の
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