一一九話 移動先は泉宝の後宮、ってなぜ?
「いかがでしょうか、
「いいね。あんなものものしい
「は。
「そう、よろしくね。いくよ、
「……」
どういうことだ。私を着飾らせてこの
が、やはりこれ以上の思考は疲労以上に過労になるらしく
それがあってから、私は
然樹皇太子は私に一瞬振り返って、私の様子を
静かに、沈黙させられた思考は
なるほどね。ここはつまりそういう。
あの
つか、本当にどういうつもりだ。私を泉宝国の後宮に閉じ込めよう、封じよう、ってんじゃねえだろうな。冗談じゃない。私は天琳に帰るんだ。こんなところ、絶対いや!
「君の美を思えば一等地を与えるべきだけど。まだ君は天琳の将軍だし、その
あ、そうなの? てか、教えてくれるのは親切から、じゃない。絶対に逃がさない自信があるんだろう。それか、その「ある特殊条件」とやらを満たすつもりでいるのか。
特殊条件、なんだろう。そうこう深淵で考え込んでいるうちに私たちは
そのまま、案内一切なく、
「ねえ、水花。
「……」
「どう? あやかしと仲がいい君は僕がやっていること、やめさせたいんだろう。だったらここで頷いて僕に心から気持ちを向けるんだ。そうすれば今からでも助かる者が」
「……ぇ」
「は?」
「ふざ、け、んな……だ、がてめ、えな」
「……。ふうん?」
深淵で
そして、私の許可もなにもなくまた勝手に口づけてきた。舌を割り込ませようとするが私だって無駄に黙ってされるがままだったわけじゃない。このくらいは抵抗してや。
「ダメだよ、水花。お口開けて?」
「……っ!」
「へえ。もう式締めに抵抗できるなんて
規格外だの予想外だの、言っているがけっして感心もしてなければ、
ただ、楽しそうに笑っている。なにが楽しい? てめえの予想を裏切って抵抗した私が物珍しいだの、
そうこうする間に私は意識が本格的に覚めはじめていき、抵抗も本格的になった。
然樹を押しどけようと腕を伸ばすが、その腕を取られて寝台に押し倒される。くっこいつも男ってことか。すごい、力。普通の女より
ギリリ。掴まれた腕を万力で締めあげられる。痛みと不自由さに顔をしかめれば然樹皇太子は嬉しそうに笑うだけなので、私は嫌悪感だけ表してやる。するとこれはもう。
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