八〇話 緊張の朝を準備万端に迎えて
翌日、陽ものぼらぬうちに起きだした私はいつも着ている殿下おすすめの服ではなく
これは私の独断だ。別に
そういうわけで今日はこちらも久しぶり、になるが口調を戻してみようと
他人を「てめえ」と呼び、
こういうのの区分けはきっちりつけておきたい。
だけど、じゃないと中途半端な変装は怪しいだけでなんの意味もなさないからな。
「よし」
「鬼面の将、のう? まさに対極よの」
「
「恐ろしい面をつけた将軍と
なんつー嫌み
それもこれも月なりの思いやりだ。嫌がらせ、と受け取られる方が多いだろうが、実際の月は意地悪でも嫌がらせはあまりしてこない。さすがに昨日は少しごねられたが。
てめえ、この
が、結局
で、月もこんな時間に起きているということは緊張しているのだろうか? これがというかこのあやかしの中でも
そうは思ったが、一応私は面越しに無言で問うてみたら相手の狐は肩を竦めてみせたので緊張、ではないらしい。だが、ならば、だったらなんだというのだろうか。はて?
「一応主人ぢゃしの、心配はしておるさ」
「あそ」
「反応薄いのー。よよよ……」
「嘘臭演技じょーずじょーず」
「……腹の立つ言いようが上達しおって」
「誰かさんのお陰だから以上はやめておけ」
そう、誰かさんの。誰しもが腹に飼う不機嫌の蟲をつつく物言いは月のに
なので、それに文句つけても特大の、そう、
なので、月もわかっているので押し黙るもとい恨めしそうに自己反省、はないか。でもそれ以上私に噛みつくことはしなかった。ん。まあ、不利な口合戦だと知れたこと。
普段は月が誰よりも口達者だけど、こういう回帰性抜群というか、
と、いうわけで不機嫌月ではあるが私の
たまに、本当たまにではあるが「このクソ
これはこの狐独特特有の愛嬌だ、と自身に言い聞かせている私は今日も月の小バカにしたような鼻笑いを無視してあの時の、
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