三八話 嬉々鬱々とした、新しい日々
「父上、母上に急ぎ、取り継ぎを!」
「は? いえ、ですが殿、下……?」
「
早速、いや、即座に父母へ面会を求めて先ほど見た娘を探しだしてほしい。その為ならば明日の
父であり
俺のあまりの
もう一度、あの娘に会いたい。否、
あんな遠慮のない口ははじめてだった。まあ、
こういうのを
そんなバカになったようなことを考えて一日、二日では見つからないだろうが、後宮がいかに広かろうと限度がある。なのでいずれ
報告を受ける
美しい、と一般には言われるであろう顔だがあの日の晩に出会ったあの娘の
両親に、両陛下にああ言いはしたが顔を
いっそ、俺も
羨ましい。なあ、
俺が本心の底から望みうるものは手に入らないようになっているのか? ……まさかだがお前も、この俺が唯一
俺は最初こそ翌日が楽しみだったが、数日が、五日以上が経とうというこの日を
苛立つあまり、仕事が手につかなくなっていき、妃候補たちの相手もぞんざいになっていったが構わなかった。俺には彼女だけいればいい。未来を
七日目。もう、イライラが限界だった俺は
普通は生まれた地の性を強く血に引くが、俺は五行すべての気を持って生まれた。そのせいか、気持ちが乱れた際には五行の
苛立ち、怒りが高まれば
故に冷静に。公平に。乱れなき整えた心で
手のひらの中で燃える木簡を床に叩きつける。土の気が乱れ、
彼女の徹底して冷徹な思想を持つであろう水性でこの苛立ちと
いずれにせよ、本日ここ、皇宮の執務の場にて例の湖で
これくらい容易に俺の心も落ち着けばよいものを。そう失笑して陛下らの答も待たずに室をでた俺はいった先で、使いにだした官吏に頷かれたので扉を壊す勢いで叩いた。
扉を開けられたので中に入り、両陛下に彼女、静についてを訴えていた俺は
彼女の方は身を捩って俺の視線から逃れようと必死になっている様子。両陛下は
いや、今はそんなことはどうでもいい。やっと、見つけたのだからこれ幸い、だ。
嬉しくて、気持ちが浮いた。ここ数日の
「父上、母上、俺はこの娘を
そう、堂々と胸を張って宣言してみせた。
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