一二三話 招かれたのは事情に明るい祈禱師
――トントン。
扉が叩かれる音。遅れて開けられたその向こうにいたのは歳老いた、格好から
それは今、俺の罪となんの関係もない。俺は罪を負うべきで、誰かと言わず自分で罰してやりたいのに、誰も許してくれない。
「
「ああ。できうる限り聞かせてくれ」
「ええ、ええ。あそこの
どういう、ことだ。たしかにあの皇太子
「
「きゅ、きゅう、ようし、ゃ?」
「さよう。書いて字のままに、
なんだ、それは。どういうことだ。わからない。話が見えない、のはどうやら俺だけのようだ。月は忌々しげに俺を睨んでくる。両陛下は一瞬顔を見あわせて黙り込んだ。
吸妖者。妖の気を糧に……? 糧? ま、さかそういうことか。いや、そんなまさかだがあの
やつは研究し
静が、喰われる? 老婆の口振りから一息に肉を千切られ、臓を引き摺りだされて無惨極めて殺される感じではないが、ではどういう意味で糧にされるというんだろうか?
「世間一般にあやかしとは
「飢え……?」
「ええ。この特異体質者にとって妖気は食事とまったく別の栄養素。生命の
「吸い尽くされたら……死、ぬのか?」
「はい。妖気とはあやかしにとって生命力。弱まることは当然死を呼び寄せまする」
血の気が引く。そして、ひとつわかったことがあったように思う。なぜ紙の
だが、やつがあやかしを狩っている、などという情報は
では、どういうことだ。その吸妖者というのは生まれつきの体質なのだとし、もしもそうだったならやつの両親が
そうして永らく飢えていたところに入った
その飢えを癒やす為のあやかしをふるいにかける、という意味で今回の進軍だったのかはたまた、狙いはひょっとして月、か? 幾度となく泉宝の紙式を
それともあやかしの気配に
「泉宝国皇太子然樹様は
「そ、んな……」
「
「それでも、
「誰のせいぢゃと思うとるか」
「わかっている。
ふん。鼻を鳴らす音。
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