せめての備えに情報を
一二二話 天琳国は限られし者たちの会合
「はじめよう」
「はっ」
どこか遠い場所で声が聞こえた。いや、とても
あの最悪すぎる
一日は
俺は自主的に、というか吐き気と自己
言葉が見つからないようだ。厽岩は器用に見えて不器用だ。特に女性との関係には
それも静と近しい十五歳。もしも、と厽岩は俺の立場と心を思ってなにも言えないでいるのだ。攫われたのが彼の娘で、それも自身の特大間抜けで
それは、言葉がでてこなくなる筈だ。そんな厽岩と顔をあわせたのは
静をどうするか。どのように
そして、それに
本来なら俺をすぐにでも八つ裂きにしてしまいたいのに月は敢えてそういう選択肢をくれなかった。突き放し、それにより追い詰め、反省、本当に心からの
それですらまだ月が言うところの「阿呆に
なぜ、誰も俺を責めてくれない? 俺は重責を負って首をくくるべきなのになぜ。
俺が
わからない。どうなるんだ。父上母上はどういうつもりで今日、この会合を開かれたのだろう? 叶うなら、今すぐにでも静を助けにいってやりたい。それが責任だろう?
俺が負うべき
「……まず、
「は、い」
会議がはじまって第一声。父上、皇帝陛下が俺に声をかけてきた。声に感情はなにも含まれていない。そうだ、そう
「もうよせ」
「……。……は?」
「もう、自分を責めるな。起きてしまったことは
「ふん、手ぬるいのう。そのような間違い格好つけのド阿呆は
「
厽岩の咎める声。が、月は無視してそっぽを向く。当たり前だ。それが普通だ、それがわかるだけ俺の自己嫌悪は激しく強くなる。静。大事な俺の唯一の
だというのに、それを自分の
父は責めるな、と言ってくるが無理です。どうして大切な唯一無二の存在を失い、この手から取り零してしまって平然と自分を許せるのですか。たしかに、悔やんだって。
それで静が戻ってくるなら世話ない。しかし憔悴ねえ。俺にそんな資格があるか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます