禁軍の鍛練場にて、詰所にて、宮にて
八三話 鍛練場に到着直後、大打撃
遠くなく近くもない場所に建つ
「私の口はおとなしい方だったんじ」
「たわけ。暴言
叱られた。いや、むしろ突っ込まれた? そ、そうなのだろうか。
だから、仕方ない私の
月の納得していない雰囲気を感じたが、無視に処しておいた。だってもう変わりようがないんだもの。この
息抜き、休息、これ必要。そう自己暗示しておいて歩みを続ける私の背に続く月はしばらくしてふ、と笑いを零してついてきた。そうして
一応、彼女は後宮の主として
ま、今後どこかで機会があるでしょ。そう思って私はその場で雑談していた男性たちに気づいてもらう為に
彼ら、
「えっ、と……?」
おいちょ。殿下、あなたね、それはさすがに失礼なんじゃないか!? いかに完全武装していると言ったってこの背格好は見慣れた者のものでしょうがよッ! え、ええ?
私が衝撃のあまり口利けずにいると背の方で押し殺したくすくす笑いが聞こえた。
「その面……もしや、
「えっっ!?」
ちょおおおおおっ! 殿下、私、あなたのその反応に
月は、だがとうとう
「むしろ、なーぜ気づかんのぢゃ? 特に皇太子は
月。てめえ今、「お陰」と言いかけなかったかこのクソ
悔しさか、悲しさか、心痛か知れないナニカのせいで目から汁の芸をしそうになったが私は居住まいを正してちょっと、少しだけ、結構わりといやおおいに不機嫌になる。
「へんぼーしていてどうもすーみませーん」
「うっ、す、すまないっすまなかった、静」
「いいのです。殿下は私の顔が目当てだというのがわかったので。ちょーっとの間、この鬼面をつけていなかっただけで私が私だとわからなくなってしまうのは仕方ありま」
「静っ!? 断じて違うから母上にはそのような言い方をしないでほしい。違う。ただあのいかにも
「殿下がどう言い訳なさっても気づいてくださらなかった事実は変わりないですっ」
「ぅぐ、ほ、本当に申し訳な、い……っ」
ちくちく
その殿下の背で――。
「ふむ、すでに尻に敷かれておるようだな」
「そのようぢゃのう。これもまた
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