七五話 当然っちゃあ当然だよな
「
「へ?」
「な、あ……?」
宣言を終えるなり、陛下は皇帝のお言葉が記された
「本日この時を以て汝らを
「……。……は?」
「
それだけ。たったそれだけが書かれていたらしき木簡を
木の端切れは上品な香りを
このにおい、
いや、それ以前におそらくもなく殿下からでも苦情があったと思うのになぜ今になって処遇を改める真似を皇帝陛下はなさったのだろう? もっと早く切ってもよかった。
少なくとも殿下が賢妃からの嫌がらせにほかならない贈り物の悪意を嫌悪しているのならば当然に。あって
なにか理由があって? 今回のことにいたるに相応しい原因があったとしか、そうじゃなきゃあ殿下があんな、私がこの、
「は、はいひ……っ? ば、バカな」
「バカ、はあなた方ではなくて?」
徳妃、魅音だのいう厚化粧だった化粧剝げのそんな筈はない、みたいな音を
だとしたら、
威圧的にふたりの元最高
「わたくしの前で
「た、たかが候補じゃ」
「あら。まだわからないの? 美友賢妃。なぜ陛下がわざわざ元四夫人に上尊だなどとご大層な称号を授けたのか。本当にわからないのならその頭には
? どういうことだろう。後宮に置き続けるのに四夫人の座を
私がひとり「はて」なんて思っていると後ろの月がこっそり予想を教えてくれた。
「指導係ぢゃ」
「え」
「今、ぬしに他ふたりがしておるよう、新しく後宮入りした者たちへ
ああ。なるほど。現皇后にして未来の皇太后ばかり贔屓しないように配慮した結果として上尊四夫人、という新しい制度を実施したが、それを二名はものの見事に勘違い。
自分たちは今でも皇帝陛下の
いや、あの。本当にバカじゃねえの? 皇后陛下だけが皇太后として後宮に留まることで膨れあがる不満を抑える意味あいでつくった制度を
今後は他の新しい四夫人たちにも指導を行うつもり、心積もりでいたふたりとは違って勝手に偉い、と思い込んでいた勘違い
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