九二話 この狐は本当にろくでもない
と、いうのは私の内緒
私の腹はともかくどこぞの
世間一般に「はあ?」っつーようなことも平然真顔で言い切ってしまう
で、その狐様は、といえば……。
「今朝は
「月……」
「
「いや、関係ねえだろ」
「なんぢゃ、認識されんでもいいんかえ?」
こいつ、いつ何時もひとをおちょくる、ちょっかいかけるのが好きだなあ、と思ってしまった。もしくは
本当にひとにちょっかいをだすのが好きだ。それもひとの感情に関連づけて仕掛ける悪戯他愛ないクセ、妙に心引っかかるもんだから仕掛けられた側もわりと必死になる。
その
……これって怒ってもいいものだろうか、なんて思っちゃうが殿下を見るに怒ってはいないものの月の
まあ、えー、私が口をだすことじゃないのかもしれないかな? というので黙ってやらせている。だってその方がだされている課題をこなすのに都合がよろしいんだもの。
けっして殿下が邪魔、とか
「
「はい。本日はありがとうございます」
「いや、息子がすまんな、毎日」
「え、あ。いえ、よいのです。それについてはむしろうちの月が殿下にいろいろやらせてはいけないことをさせているのでむしろ申し訳ないくらいですから。なのでどうか」
責めてあげないでほしい。無理にやめさせないであげてほしい。はじめてできた好きなことを思いっ切りさせてあげたい、好きな場所で好きなようにのびのびすごす幸を。
奪ってあげないでいてほしいと願う。だって私がずっとそうだった。奪われて
だって、そうじゃないなら苦しくて息もできないんじゃ必死になるのだってバカバカしいじゃないか。私が今、ここでこの
あのひとが、彼が想って、愛してくれるから。……まあ、鬼面ひとつで見分けがつかなくなったのはもうちょーっとだけ根に持たせてもらおうとは思うけど。よし、帰ろ。
「月、帰るぞ」
「おお、今ゆくわ。ではの、皇太子」
なんだ、殿下。鼻なんか押さえてどうしたというかどうかしたのか? もしくは、月のバカがまたなにかよからぬことを吹き込んだりだとか、そういうろくでもない予感?
……いや、気づかなかったことにしよう。それより帰って課題をもうちょっとこなしておこう。その為に、
と、いうわけで私は禁軍の詰所に寄り道、したわけだがなんだ? 焦げ臭い気が。
入口からもうもうともくもくしている煙に火事? そう思って開けてみたがなんのことはなかった。
が、奥。多分食堂があると思しき場所から怒声が聞こえてくるし、べそまではいかないまでも猛反省している。そういう声が聞こえてくるので私はひとまず武装解除だけ。
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