九三話 お台所騒動に手を貸す
「仕方ない、全員今朝は飯抜き!」
「いや、てめえは鬼かよ」
思わず、突っ込んでしまった。覗き見た食堂兼厨房は、うん、予想に違わぬ状況。
ぶすぶす、と
……仲間が火踊りしないように案じた結果飯抜き刑とかちょい惨すぎることない?
そう思ったのは果たして私だけ? 例外っていうのは私の方なのか? いや、違うでしょうね、だって食堂で待っていたむさ苦し、いえ。暑苦し、でもなくて、えーっと。
あの
そうは思っても口にはださない私が食堂に一歩踏み入れると今朝見た顔――
「
「武装だけ外すのに寄ったら騒がしくて」
「……。そうか。いや、ちと
「
「は? あ、おいっ」
「ふふ、
「夏星、だが全滅し」
「なあに、あやつにかかれば朝飯前ぢゃて」
なんか納得していないというか困惑した厽岩将軍の声が聞こえてくるけど月が適当に説明して自分は私の武装、特に
説明するのも面倒臭い。面倒臭くなるくらいあの武器が嫌いな様子。ぐりぐり押しつけたらどういう反応をするだろ? いや、うん。怒りの炎が舞いまくってしまう、な。
私は絞ってある
と、いうわけで鍋たちに魔法の水もとい
ここにこそ
私はひとまず流しから野菜くずを救出して洗い、綿袋に入れて煮込み料理の鍋へ。
野菜のくずを捨てるなんてもったいない。いいお
野菜の皮へたを入れて煮だした袋を取りだして大皿を超えた大皿に盛りつけていって取り皿と匙や箸を添えて置き、私は唯一無事に炊けていた飯をお
「焦げは取って味も調えた。食わねえの?」
「い、や水姴将軍……?」
「いいから。朝から堅苦しかったろ。食え。今日だって国の為に
「……い、いただこう」
私の説得、というほどでもない提案、だな。これに乗ってくれた厽岩将軍。岩、なんて名前についているからもっとお堅いのかと思ったが意外や
ひとり、食事置き場にやってきて食事を取り皿にどっさり取って卓に着き、一瞬の
おかず、棒寒天入りの酢の物の他は濃い味つけの料理が並んでいるがそいつをお供に白飯をがつがつ頬張り、おかわりに立ちあが、ってついでに部下たちにも目で促した。
そうすると恐る恐る、といったふう兵たちが集まってきておかずを取り、飯は各自で盛ってもらって汁の椀だけ配膳していく私がちら、と顔をあげると。なにこれ行列か?
てめえら恐々だったのはどこいった? それともやっぱり
ふと、視線を感じた。というかむしろ気配を覚えたになるのかね、これ。よく知った気配が食堂を覗いているようですよ確認すべきですか。と、いうわけでちょいと視線を向けてみると予想的中。殿下と陛下が厨房の中で汁椀を満たす私に仰天しているご様子。
「えー、水姴?」
「お焦げ騒ぎがありまして。飯抜きになりそうだったので
「……」
「
「ですが、父上。やつらばかりジ、水姴の手料理を
狡い、って殿下なにを言っている。私の料理がどうしたというのだ。付加価値もなにもないと言いますか、
で、その殿下は陛下が「ほらほら、どうどう」と抑えている。てか、狡い、だのなんだのをここで言わないでくれ、殿下。ひょんなことで勘のいい
野郎たちはどんどん皿を
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