四四話 鏡の催促。ナニカ。と、私……?
「ほら、
「っ……いや」
「大丈夫だ。俺が保証する」
なにを保証するんだ。よくわからん。わからなかったが、そろり、と顔をあげる。
ちょっとだけあげた視界にうつるのは優しい笑みを浮かべた殿下と興味津々といった様子の
ナニカ、としか言えないナニカがぼたたと影を
私は咄嗟にガバッと顔をあげて
即、正気に返った月が振り向き、私の
「くっくく、油断するべからずうううっ!」
だ、などと残して消えていった。月が炭と
「こいつは、
「セン、ホウ……?」
「泉宝。ここ
私がひとり話題についていけずにいると殿下が説明してくれた。紙の生産が
が、わからない。それがなぜ、なにがどうして襲撃みたいなことを仕掛けてくる?
それも紙を型とし、
それこそよくわからないのは私が
なんだ。と思い、考えるのはほんのまあ
光が反射され、私は目が
蒼に金色の影が加えられた色で瞳孔はやや鋭くあるがそれがまた加工され、研かれた宝石のような美を放っているのだ。この色、どこかで……――あ、そうだ。
「美しいだろう?」
「これ、誰の像?」
「……。鏡に別の人間がうつるのか?」
「へえっ?」
思わず、間抜けた声がでた。思いもかけない言葉に驚いたとも言う。鏡、これが?
そこから? と突っ込まれそうではあるが、だって鏡なんて無縁だったんだもの。
え、え。ちょ、待って。この綺麗なひとはまさか私だと言うのか、言いたいのか?
ありえなくはないか。これは私、目が疲れているんだろう。うん、絶対そうだっ!
そう思ったので鏡を
いや、笑い事じゃねえし。幻覚が見えるなんて危なすぎる、私。それもこんなまやかしが見えちゃうなんて危険な
そうこうする間に殿下は茶葉を選んで
教養のひとつだろうか。どうでもいいや。と、いうわけで私は最後にしっかりすすいで美しい
「静、どうしたのだ?」
「いや、本当、誰だよこれ……」
「静だとも。どうだ、美しかろう?」
「んで、てめえが誇らしげなんだよ」
「自慢の
げふぶっ。な、なぶ、なに言ってんだこいつはそれも真顔で堂々と。なんだって?
自慢のつ、ま……? あれ、私もうそれ決定しちゃっているんだろうか。マジで?
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