一四五話 双方へのご褒美をわけあって
私がしばらく殿下の反応を待っていると肩に大きな熱い温度が乗ったので私は目を閉じて上を向く。そうして、重なる熱と熱。ああ、やっぱり、
心地よい感触。気持ちいい接触。そうしてしばらくも重なっていた熱が離れていったので私は目を開けて視界を開放してみたが、殿下、ゆだって
それくらい真っ赤っかだ。普通こういうのって女の方が照れるものではないのか?
然樹皇太子で慣れていたせいだろうか? 私の方が、って言ってみる気はない。だってそんな、
「
「?」
「あい、や、言い方が違うな。何度そ、の口づけされたんだろうか、と思ってな?」
「さあ。幾度となく?」
「……。……
さーですか。たかが唇の接触で
それをんな、そうだな。
最初はその甘い香りで鼻がバカになりそうだと思ったが、人間って慣れるもんだ。
だから、殿下の
然樹皇太子が死んでいる、とか
ひくり。殿下の腕がどこかひきつるような動きをしたように感じたが、それを疑問に思うよりも早く私の体はなぜか長椅子の上に横たえられていた。はい? え? なに?
なんだ? そう考えている間に殿下の唇が私の唇、といわず額や頬や鼻先に落ちてくる。雨のように降ってくる。えーっと? なんて殿下の意図を探している私だったが。
さすがの
「静、こっちはまだ、だろ?」
「私の帯はそこほど緩く見えますか」
「いや。だが、無理矢理にサれていたら、お前の意思を無視していたら、と思うと」
「殿下、ですがこれはまだ
「静、俺とて男で毎度母上にお預け喰らわされているというのを忘れていないか?」
いや、それは忘れていないが。だっていつも夕暮れ遅くまで
そんなある意味恥ずかし
私とそういうことをシたいというのも、月
殿下は気にしなくていい、と言いそうだが殿下が言ったら
「盛りあがっておるようぢゃが、そういうのは寝室でしてくれんかえ?
「月っ! なん、嫌がらせのつもりか!?」
「ほほ。
ぐ。殿下の握りしめた拳が音を立てた。すっごく渋いものを喰らった顔でいる殿下は私の帯にかけていた手を開いて身を起こした。長椅子から降りた殿下は手を差しだす。
ので、私は苦笑いで殿下の手を取って起きあがらせてもらう。さすがに
やれやれ。抜け駆けか、は不明だが月が
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます