一九三話 天狐と私の疑問への答、来た
「ところで、
「さあ。殿下が張り切ってはいたけど?」
「なんぞよい名をつけてくれるといいがの」
「決まったらまず両陛下へ報告なさるしそこで却下! がでたら考え直すだろうよ」
「……む、う。まあたしかにあの
「だから、名が決まったらまず陛下方に」
だのと話のお題にあげていたせいか、本日もおいでになったようなので
長く居座られたら(ダメではないが)途中で
欠伸がでる。今日はちょっとだけ昼寝を挟ませてもらおうかな、とか考えていたら寝室の扉が叩かれて返事をしたら飛び込むように殿下が入ってきてこちらへ一直線した。
わかりやすっ。いや、マジで本当冗談抜いてわかりやすすぎるだろうよ。
だなどとありえなくて頭
だから私は、常識的で現実的な私は苦笑いするしかないわけだが、今日はなにやら様子が
上質な紙だ。それになにが書いてあるのか、なんて訊かねばわからない方が鈍い。
私が笑うと殿下も笑った。いつも通りの
出産翌日、いらした時、前日の夜の騒動で
だのと意味のわからんことを言って
あのね、
その後も
できたのですが
なに言っているんだ、あなた。気はたしかかっつーの。なにをおバカ言っちゃっているんだろうか。自分の
だのと、心の中がいろいろ黒かったのは疲れていたせいだ、と思われる。その次の日はガン見されようと
そんなこんなを思いだし、
ついつい笑ってしまうじゃないか。だって、ここまでくるともう天晴だよ、殿下。
そこに書かれていた
それですらどうでもいい。殿下、私への愛がすさまじすぎやしないでしょうかー?
と、いうのも訊かない。だって返される言葉に想像がつくじゃないか。ついてしまうのも結構どうかと思うが、いいや。それくらい強く繫がっている
「思い切った名づけだのう、
「うん? そ、そうか?」
「親バカなだけでなく妻バカぢゃろ」
「なんだ、いけないのか」
「
月の主張はごもっとも。ここまでバカがすぎるとそばで隣で見聞きする方は
それを思うとよく耐えてくれている。でも、これからまた変化して
などとこっそり考えてその日は殿下がつけてくれ、両陛下に認可された名前である吾子の大切な音たる「虎静」をひたすら唱えた。虎、までいかず元気に、と願い込めて。
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