一一三話 まだ、状況はましな方か、も?
だったら、
そのことを恨みに思うこともない。だって、
そこんところは謎で不可解だが、ま、どっちでもいいや。殿下を守ったといえ、それで捕まるへまをしたのは私だ。殿下に責任の
自己責任で私はここにいるし、こうして命に責任を負うことにした。悔いてない。
これでよかった。あのままではあの
当たり前に、必然で私はこんな権力の
「へえ。驚きだね。もう動けるの?」
ふと、声。あの
枷を外してやろうと思ったのだが、やはりあやかしに対する抵抗性が特別高いらしくささやかすぎて愚かな、
だが、いざという際、反抗が封じられたままなのはさすがにまずい。せめて動けねばせっかく拾った命もふいにしかねないとなれば
そう、考えただけの行動をなぜ?
きつかったんだろうか。いや、きつかったが。
「ふむ。君は、ただの
「……」
「あれ、これくらいは反応してもいいんじゃないのかな、
「私に身分なんて
「ふふ、そうだね。あの枯れ皇太子
あ、そうだったっけ? いっけね。うっかりしていたって感じだから、
私がこんな目に
つーかさ、こいつ。然樹だのいうのは殿下に何度も「枯れている」だの言っているのだが、殿下ってそんなしょっちゅう
私がひっそり首を捻って傾げてしているとクソっ垂れ皇太子が甘やかな顔に笑みを浮かべて私を直視してきた。……本当に、世の中は不公平すぎると思えてならない。こんな
私も
いや、私が美醜を正しく判断できる、できないは置いておいてだ。とりあえずこの皇太子は私になにか要求があるらしい。……当たり前、か。私が先に要求したのだから。
そして、それを叶えてもらった。突っ撥ねられないが仕方ない。あのまま放っておいたらこのコは殺されていた。さて、なにを言ってくるやら。負の予感しかしないがな。
「君の本当の名前はなんだい、水姴将軍?」
「……そんなものはない」
私の答に
私は嘘に向かない、というのは承知しているがここまであっさり見破られると腹立たしいものがある。だが、同時に相手の
こっそり恐怖する私に皇太子、然樹は崩れぬ微笑みで美貌を
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