六二話 先々の私は、こう、在るべきだ
常に守られて、
――バッ、ぎゅうう。そんな音がつきそうな感じに私の体は殿下の腕に
熱いくらいの殿下の熱が、体温が私を抱きしめているからか、私の顔は発火しそうなくらい熱くなっている。きっと鏡を見るまでもなく真っ赤っかに違いない。だけども。
「
「いいえ、いえ、いいえ……」
何度も重ねる否定の
私の
もしかしてわざわざ、私に会うぽっちなことで気を遣って、気にして
こんな、すべての女が憧れる幸せがあってもいいものかと
ただそこに咲いている花。時に目で、手で
もしも私でこの後宮に実をつけられなくともそれは他の花でも代替が利くのだし。
殿下は嫌がるだろうが、そこは次期
私などがその関心も、視線も、手も、愛も独占などできない。そんなの当然だ。もちろんわかっているし、わきまえている。いつか、彼の心が離れても仕方のないことだ。
今、こうしているだけで私は充分。だからこそ
およそ私が零しようがない、と思っていた
なにを考えているか、だいたいわかる。このクソ
だから、殿下が意表を衝かれた表情で照れ臭そうに頬を染めていたのを知るのはその宦官たちだけだった、という過去の話を私が耳にしたのはこの
茶会では
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます