一九話 ちょっとした、でも重大問題
「やっぱり、
「他にどう見えるよ。アレだぞ?」
「う、うん。だからかな」
「は?」
「すっごく詳しそうだから少し怖いの」
ああ。とんでもない
押し倒した筈が、実は喰われているのは男の方でした、とか普通にやってそうだ。
怖い怖い。そりゃ、このおとなしそうなお
ただ、だからって私に訊くなよ。欠片も粉一粒の知識すらないっつーの。とかやっている間に
「
「……ぁ、はあ」
すると、桜綾様が戻ってきて、優しく名を呼んで手招いてくれた。私は、拳を握って一歩踏みだし、彼女の住まう
中が意外なくらい片づけられていたからだ。もっとこう、
黙ってついていった先。
美肌効果があるんだったっけか。あと心をほぐすのにも使われる香りに似ているらしく貴族たちの間では人気の香油だ、と
心をほぐす方の香りは「
「静? どうかして? あ、
「いや、そう、じゃな、くて」
もうとっとと服を脱いで
桜綾様はこの香がダメだったか、と訊いてくれたがそうじゃない。もっと
ただいつまでもこうしているわけにいかないので、
「……が、んだ」
「え?」
「入浴、したことが、ないんだ」
「……え?」
「水浴びはしてきたけど、湯船につかったりしたことなくて……。入り方がわかんねえんだよ。だ、だから私、入りたくないっ。第一てめえらみたいに誇れる体でもねえし」
「……」
ぽかーん。桜綾様の
そして、月も当然長く生きているのだから湯につかった経験くらいあるだろう。私はあの
だから、
作法がわからない者が入っていいとは思えなかったのもあり入りたくない、そう明確に拒否しておいた。おまけで桜綾様、優杏様、さらには月のような体もないとつけた。
それに引き替え私は……やめておこう。自傷行為にほかならないくらい肉がない。
湯、というものにつかってもいないのに。かぶってもいなければ、服すら着ている現状なのにどうして私ひとりゆでられたようにならねばならない? クソ恥ずかしいっ。
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