二八話 居候なのになぜいろいろ下賜される?
どう考えてもこの鬼の
困る。すごく困る。というか困ることしか待っていないように思う。どうしよう。
「
「いや、普通に無理だし」
「陛下方には私から話してありますし、あなたの無情にすぎる
「ああ、いやだね。死にたくなる」
「ですが、どなたか
「事故でね。それにもう会わないって」
「そのくらいの心でよいかと思いますよ。陛下たちはただ礼を述べたいだけですし」
じゃあ、そもそも
そうは思ったが、これ以上
なにか、そうなにか思いついたかのようなというかそのものなんだと思うけど、いったいなにを思いつかれたのやら。で、
「頼んでいたアレはできているかしら?」
「はい。ご注文通りに仕上がっております」
「そう。よかったわあ、間にあって」
嬉しそうに花びらがぱあ、と開くように笑う桜綾様に侍女は眩しそうな顔をして「お持ちしますね」とだけ言って去っていった。なんなんだ? 私ひとり置いてけぼりだ。
桜綾様がにこにこしているのはまだしも月に含み笑いされているのはなんかむかつくのは私だけじゃないだろう。……って、誰に同意を求めているんだ私は。頭ヤバいぞ。
そうこうしていると侍女が戻ってきてまず桜綾様に確認してもらい、私の方へ来て箱におさめられた桜綾様
白い本体を彩る
「こ」
「れ、ぜひ
こんなものいただけねえし、使えねえよ。そう言いかけた私を素早く遮った桜綾様に私は観念というかもはや
簪にいたっては使い方もわからねえありさまだというのに、本当、どうしようか。
仕方ないし、月に言って手伝ってもらおう。普段から
なるようにしかならない。そう、腹をくくっておいた。はあ、気が重たい限りだ。
「うふふ、楽しみね」
「私はまったくだ」
「そう? 静は綺麗だと思うわよ?」
この時、私の脳裏によぎったのはあの夜の
そして、翌日のことだ。私は人生で最も後悔した。のこのこ挨拶にいったことを。
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