二九話 翌、謁見支度しながら思い出たどる
「
「
「あらあら。まじめさんねえ」
いや、まじめだとかそうじゃない、の問題じゃなくないかな、これ。今日の
行事というか
はじめて着る
桜綾様から借りた
月だ。
「静の髪はほんにさらさらつやつやぢゃな」
「そうか?」
「うむ。
「基準わかんねえー……」
いや、マジで基準がおかしくないか? どうしててめえが基準の大前提になっているんだろうか。これが桜綾様だったり
なぜそうじゃない、ふたりを押しのけててめえが基準にあがってきやがっている?
意味がわからん。それともなにか、この
あまりの自信家ぶりに私は恐れを抱くぞ?
「ふむ。これでよかろう」
「どうも」
「やれやれ、無愛想を本日も大発揮ぢゃの」
「るせえ、ボケ」
「ほほほ、暴言
こいつはこっちの気を、正確に知った上で敢えてこうして
肩に力が入りすぎだ、と。けど、そう言われたって緊張するもんは仕方ない。私なんかが
あの
はああ、深いため息が零れる。いきたくない。だけどこの場を欠席しては桜綾様たちの顔に泥を塗ることになる。それになにより彼女の役目は私の観察であった筈だしね。
私という人物を間近で見て、どう感じたかだとかどのような人物かを伝える。観察者であり、伝言者でもあった彼女が私をどのように報告していたか不明すぎるというのも気が重い理由のひとつにはなっている。あとはそうだな。ここ最近、後宮内がにぎやか。
昨日の桜綾様の言葉通りなら
后と妃の違いがわからなかった私に月が簡単に教えてくれたことからして后とは次期皇后陛下で
まあ、
月には「身も
たしかに
けどそれって皇后候補に男児が生まれなかったら妃に
四夫人の座もへたな戦よりもよっぽど激烈な争いで勝ち取ったようなものだ、とここ数日の間、食事に付き合わずとも茶には付き合う私に桜綾様が語ってくれた思い出話。
それくらい陛下の
そして、結局は男児を出産した唯一の妃、
余所、
だとかなんだとかだったし、キソウコウ? とかいう国にいたっては世継ぎさえ産んでくれればいい、ということで出産経験のある
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