一七九話 まじめな話のち、お・仕・置・き♪
「
「殿下」
「平気な筈がない。
「ですが殿下、私、は誰の顔も、きょうだいの顔すら思いだせないんですっなのにそれなのになにがどうして
ありえないもの。それは夢であって幻。ひとを惑わして時として心を
そんなの、私、
だって、間抜けだもの。恥ずかしいもの。惨めじゃないか、そんな
だから私は声を大にする。縋りたくない。
自分からバカになって、愚かな
「静、現地
「ツァイ、ムーヤン? 殿、下……?」
「頼む。自分を偽って笑うのはやめてくれ、静。俺の心の臓が潰されてしまう。俺は静にそんな顔をさせたくはないし、もう二度と敵の手に堕としたくもない。だから――」
だから、殿下は自ら身を引き、その蔡沐陽というひとに私を
殿下がいけば、同行すれば私が必ず殿下を庇い、殿下も私を庇えばそこからあの
殿下は
……ただし、「それ」と「これ」は別だ。
「お話はころりと変わりますが、殿下」
「? なんだ?」
「
「ぐ、えっ!? ぢょ、静? よ゛せっ」
なにをよせ、やめろとおっしゃられているかというと以前殿下が私に喰らわせたこともある
だって、四夫人に選ばれた
なにの危険か、というと。いろいろ? 身の危険と同時に精神の危険を覚えられた模様であります。殿下、せっかくの綺麗なお顔がひきつっているけど、どうしてかな~?
「で、ん、か?」
「違、待っ、静……でる、内臓的なものが」
「そうですか。なにかの芸ですかー?」
「な、ぜそうなる、の、だ? や゛めでぐで、静。本当の本当に、いろいろまずい」
「……ご説明いただけますね。後日各
私の問い、と見せかけた
いや、女である私の締め技程度で男である殿下が死ぬわけないんだから、うん。
うーん、残念。とか感想抱きつつ殿下を締めあげていた腕の力を抜いた、ら。殿下がぶっはああぁ! という具合に思いっ切り息を吐いて呼吸に
あれ? 私の力そんなに強かったか? おかしいなあ、きちんとちゃんと手加減した筈なのに……。と、いうことは殿下の
ダメだな、殿下。いくら皇太子だといったって最低限の
まあ、
「静、その、
「楽しい
「うっ、す、まなかった。だからそんな目で見てくれるな、静。まるで俺が
「みたい? そのものではありませんか、殿下。四夫人たちの、特に
「う、うっ! ……えっと、それで
「御す? 殿下、これ以上失言を重ねる前にお黙り遊ばせた方がよろしいですよ?」
気のせいだろうか。殿下がこれまで見たこともない表情、というか私には見せたことがない顔を私に向けた。ついでに言うとすっごい
それってアレじゃあないの?
多分、言ったらそれはそれで引かれると思うが嬉しいじゃないか、皇后陛下と同じところ突入できたってことは私に皇后の素質がある、あったってことでしょう? 違う?
別物なのだろうか、これは。皇后の素質とは別の域に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます