一七話 どうやら到着してしまった模様
「これは
「うむ。湖に
「なっ、みな様、お怪我は!?」
「みな無事だ。とある者が救ってくれたでな。その者を特例として入れる。身分証は追って全区画に届けさせようぞ。ひとまず
「は、ははっ」
前の前のそのまた前、最前にある車からの声が聞こえてくる。風に乗って、私の下へ届けられた音は少しどころかかなり解しがたかった。身分証? それって貴族が持つものなのではなかったか。……。ああ、身元不詳だから保証書? 身分保証書ってことか。
ならば納得。他には考えられない。お貴族様、特に
私がこっそり思っていると鋭く察した
これに考えを悟られるのは慣れっこだが別に進んで悟られたり、読まれたいわけではない。ただまあ、なんというか。なんとかの
そんなだから、なんだかんだでこの
そこのところも月のことなので汲んでいる。だから、しつこくその気もないクセに
信じられない。誰が信じられるものか。物心つけられた瞬間から絶望の
信じた先に待つ残酷を見たくなくて言い訳がましく「
でも、仕方ないだろうが? 他に思いつかなかったんだ。思いつく間もなかった。
まわりは全部敵だった。月を中立に置いて、懐には誰も入れないことで自分を、この弱い心を守ってきた。
だけど、そうした感情を覚える
浩。あなたは立派なおおいなる
永遠に飢えと渇きを覚えない私にとって永遠に満たされることなく生きるは痛み。
あやかしであるあなたに理解できないのはわかる。あやかし混じりの私だからこそうっすらと理解できる。ねえ、浩。あなたにとっては孤独など
私がこんなに
わかった上で試練だ、とそう言ってくれたら少しは救われるかもしれない、のに。
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