一三話 なぜ車中で妃、公主と差し向かい茶?
「色が気になる?」
「っ、し、失礼しま」
「あら、いいのよ。ありのままで。その方が息が詰まらなくていいでしょうしね?」
「……てめえがよくっても」
「あらあら、
どうしたこと、このお
でも、彼女はそこに気づかない、というよりは究極気にしていない様子で娘に続いて
顔を見るのも見られるのもいやで外さない面はいつしか私の一部となっているし。
この
そうして、自分で自分を
傷つくのは怖い。傷つけるのも怖い。いつもは凪いでいる心が今は
それこそ、
「申し遅れました。私、
「
「ん、終わったぞ。で、なんぢゃ?」
「なんもねえよ」
「ほんに機嫌が悪いのう、静。ああ、いやいや愛想笑いなぞはじめるでないぞ? 不気味すぎるえ。感情の有無すら怪しいぬしがにこにこしだしたら亀の甲羅を焼かねばな」
「うるせえ、ボケ」
女性、桜綾様の自己紹介にある通りならやはり
私がもう一度車中をぐるり観察していると視線を感じた。……見やる先に、少女。
「は、じめまして。
「静と月。ご丁寧にどうも」
「あ、あのう。泣いちゃ、助けてくれて」
「
「! ありが、とうございます」
はて? 礼を言われるようなことを言ったか? 少なくとも侍女たちは渋い顔をしているぞ。少女は大きく深呼吸し、こちらも母に似て綺麗な顔で花の
で、同時に侍女のひとりが用意した茶を配った。親子に配られて私、月の順番だったのは月が私の
私にはとことん
「お食べにならないの? 毒なんて」
「……。先、串焼き肉食べて満腹なだけ」
「静は串半分で、の?」
「黙れ、月。にまにますんな。気持ち悪い」
「誰がにまにましておるんぢゃ、失敬なっ! それに気持ち悪いとはどういう
「うるせえ、アホ。どうもこうもそういう了見だっつの。気持ち悪いから。終わり」
終わり、と言って強制的に終了させておいたが月の顔を見るに、額に青筋が浮かんでいるのを見るにご立腹のご様子。別に気にならない。それで月が私の秘密を
が、珍しいことに月は鼻を鳴らすだけで終わらせて水菓子を娘の優杏様の方に押してやった。優杏様は驚いていたが、やはりちょっとだけおっかなびっくりと訊ねてきた。
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