これはいったいなにの意思は作用だろう?
一二話 やる気、なくなったまま淑妃の車へ
「よかったのか、
「どうしろってんだよ」
「
「
「おおっ? はじめて名を呼ばれたわ」
だからなんだよ。そう、やさぐれる私に月はしかし、嬉しそうにして手を繫いだ。
私はなにもする気になれなくて従って歩くだけだったが、月が段差をのぼっていくのに手を放してきたから私も段差をのぼっていった。そして、視線をあげてみてそこが馬車の中だと気づいた。広い。ひとつの
少なくとも私が長年住まわされたあばら家よりよほど上等なつくりと装飾がされている馬車の中、見渡すと月が座席に座っていて隣をトントン、叩いていたので腰かける。
対面には美しい女性。黒い
深窓の
豊かな胸。くびれた腰。真ん丸の尻は座ってなお形潰れることないという驚きだ。
「ねえ」
「?」
「お話してもいいかしら?」
女性は馬車に最後、足場を片づけて乗り込んできたおそらく
「手を貸してやろうか、女」
「はい?」
「おい、月」
「なんぢゃ、静が礼儀だなんだの言うのは珍妙なことよのう。なに、別に怪しいことなぞせぬわ。ただ、きゃつらの身支度を待つのが面倒臭いので妾の火の
「そうじゃねえよ。死にてえのか、てめえ」
「たわけ。わずかな間といえ
ぐう。それを言われるとなにも言えなくなってしまうだろうが、このクソ
私はこの女性、たしか
だけどもまあ、なんというかな。
「まあ、助かりますわ。では、娘からお願いできますか? このままでは風邪をひいてしまいますもの。まさか全身濡れるとは思っておりませんでしたし、着替えもなくて」
「ふむ。話がわかる人間は好きぢゃよ」
「では」
「
おい、月。いつ、てめえが私に仕えたい、だなんて
好き放題言いやがって。いいけど。不機嫌なのは違いないし、こいつのお陰であの腐った
桜綾、様が頼むと言ったので月は立ちあがって彼女の娘、たしか
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