せめてものお返し代わりに、だったのになんで?
二六話 いろいろ活用方法はあるんだ
それからの数日は、まあ平和なものだった。私は特になにをさせられるでもなく
特に爪は
訊けば、
「ねえ、
私が水に妖力を溶かして準備している
この作業は集中していないと補修どころか逆効果になりかねない。特に桜綾様のような普通の人間で
「水を
「へえ。それで爪がどうなるのかしら」
「やりゃあわかるっつーの」
ちょうど作業を終えた私がぶっきらぼうに応えると桜綾様は早速と両手を差しだしてきたので私はまず彼女の右手を取った。借りた筆に妖力水を含ませて爪一枚ずつに丁寧に塗っていく。特に
桜綾様は不思議そうな顔で見つめているが私が別の
「まあっ」
「もう少しつけていて。……はい。手拭い」
「綺麗になったわあ。それに淡い紅を塗ったみたいになるだなんてとっても素敵ね」
喜んでもらえたようでなにより。
そこに新しい水を注ぎ、妖力水を新しく、今度はさらに注意して濃度を調整して、っとできた。新しい妖力水を
そのまま塗り広げていって一定の厚みで妖力水を乗せたあとは薄く紙のように仕立てた綿を貼りつけるように乗せてしばらく放置。その間に私はあの時、湖からの帰りに
桜綾様も冷茶で休憩してもらい、触ってみて乾いてきたのでそっと
「すごいわあ。ぷるぷるのつやつや~」
「お綺麗ですわ、桜綾様」
「ねえ、静? いつもあなたこのお手入れしているのかしら。今の私よりうるつや」
「私が美容に興味があるよう見える?」
「うーん。でも女の子だし?」
「あるわけねえだろ。これは私の中に渦巻く
一蹴。思わぬ水を向けられそうになったがもうあの日の、あの夜の会合を忘れていきつつある私はすっかりいつもの調子だ。ここ数日、私の様子を心配していた月も、だ。
月が心配するので桜綾様も
「引っ越す理由ってなに?」
「あら。やっぱり気づいていたのね、静」
「いや、わかんねえ方がどうかしているし」
桜綾様は私の
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