九九話 久しぶり~な狐の「悪戯」仕置き
アホか。三年前、
全土に向けて、
「ふん、式がつかなかったか、老いぼれ?」
「ふ、ざけるな小娘っ! 式などと穢れを」
「
私が確信持って相手の爺に言葉を投げつけてやったら予想通りキレてくれた。や、予想以上に、だろうか。噴火しそうな勢いで怒鳴った、怒鳴ろうとした
私など比でない御方々に名を呼ばれてしまったが為に黙らせられた。この老いぼれが言いかけたことが重大にして
陛下と殿下の声は険しい。当たり前、か。三年前に式をつけろ、と国中に命令を発した
殿下は当然に
そもそも、てめえが国民から
そういうことを言おうとしたのにはさすがの陛下も
……つか、むしろ一番言っちゃいけない立場だろうがクソ爺。てめえで式をつける案を通した、ごり押ししたクセにその式を差別するような、そうした発言というものは。
「へ、陛下」
「今、なんと言おうとした? 私の耳がたしかなら三年前に
「え、あ。い、いえそ、れはその」
「義務化に伴って民の不満が
訊いてみる。あやかしについての
「
「
「そうぢゃ。
月の口調。その祈禱師たちへの恨みはまだ消えていないんだろうが、私への恩義は本物だと滲んでいる。アレくらいのことで私に恩義を覚えるてめえも相応に変だよなあ。
とは思ったが、真剣な話の
そんな気がした。月はふふん、と笑ってあの老害をじい、そんな音がつきそうな強い力で見つめて綺麗な形の唇を意地悪く歪めた。ああ、この狐は本当に
「珍妙よ。
「珍しく同意だ、夏星。殿下よりなによりあの老害を
「おおっ、それは
言うなり月は指をパチン、と鳴らした。悲鳴。薄く暗い室に
なんだ。まさかだが、この
そこの老害と違って。が、あまりにもおろおろ殿下が私たちとあの爺を見比べるので私は月に合図して「悪戯」で「嫌がらせ」でほんのささやかな「冗談」をやめさせる。
月の手がすい、と
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