もう、用済み、なのだろうか。私は?
一三一話 目覚めから早いことにも
アレから毎日
もう舌の血も止まっているんだし、口づけで吸い取る必要ねえだろ、とは思ったが皇太子にとっては重要な点らしく、私がどんなに渋っても、いやがっても、唇を重ねる。
妖気を吸い取られるのに最初こそ違和感があり、不快極まりなかったが、慣れた。
口づけには慣れないが、妖気の
でないと私はともかく逃げる当てのない
心までは縛れない。だったら精神力で打破可能だとは思っている。その気になれば逃げようもある。そうしないのは、芽衣が
「やあ、
「……」
「ふふ、相変わらずつれないね」
当たり前だ、この野郎。芽衣が回復しないよう彼女の食事を用意しないふうに
畜生め。ひとの姿をした鬼のような男だ。……ひとのことは言えないので言わないのだけど。だって私こそ
そして、飯時でないのに姿を見せた皇太子
このクソ皇太子は私から妖気を吸い取る時間をこの上なく楽しみにしている(当人
が、手は自動、もはや全自動で
とまあ、どんなに心中で忙しく悪態つこうと口にはしない。と、いうかできなくなってきていると言い替えるべきだな。支配が
私は拱手を終えて元通りの姿勢に落ち着く。膝を抱えてその
これを、殿下に見限られたかもしれない、という気持ちを紛らわせるナニカなんて知らない、私。いつも殿下は私を大事にしてくれた。思いやってくれた。時に暴走した。
そこほどまで想ってくれていたのではないの? という疑念と失われた愛情が恋しくて
私なんてやっぱり誰にも必要とされないんだ。そういう意味でだろうか、それとも殿下だからだろうか。わからない。十八にもなって恋も、愛も知らない無知なるおバカ加減さがいやになる。さらには到底望んではならない高き願いを秘めているのもアホ臭い。
殿下の特別になりたくて、そこに
そんな資格ない。そうわかって、頭ではわかっているのにままならないものというのはあるもんだ。はあ。細くため息をつくと私の髪に触れる手。お
そこにいたのは私が会いたい皇太子じゃない皇太子であり、なぜかひどく心搔き乱されているかのようなひどく焦り、恐れる。そんな顔をしていた。? なんかあったか。
「水花、大丈夫かい?」
「てめえのせいだろ」
「? ああ。まだなんだね。早いところ心もすべて僕に預けちゃえばそんなものに
なにがまだ? ……心も全部預ける。そうすればこの
私が特別に扱ってほしいのは殿下、
こんな無様なありさまなのに、な。それでもなお諦められず私は殿下に会いたい。
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