八話 適材適所の小遣いで買い食い。避暑へ
……ん、私には関係ない話だ。誰が飢えようがどうしようが関係ない。もう、利用されるのはゴメンだ。
その
ここは大きな
皇宮に住まうはこの
当然、私の興味は
月がこうしてくれているだけで私の鬼の
月はさすがに長く生きているだけあり、男のあしらいが
尾の数も九本だなんて思いもしない。くだらないことを考えながら私は黙々と仕事をこなし、お駄賃をもらって月を呼び、屋台で串焼き肉を三本買った。二本は月のもの。
私も久しぶりの肉を噛みながらずいぶん遠くに来たもんだなあ、と
月はすでに二本目に噛みついている。私はまだ半分も食べていないのに元気だよなこの
私が腹減らねば、渇きも覚えない体質になったというのは彼女に話した
「どうかしたか?」
「……なんとなく山があると参拝したくて」
「……。そうか」
少し、沈黙。でも月は深く訊こうとはせず「そうか」とだけ言ってついてきた。夏の熱気がまとわりつくように肌を撫でてくる。
手をあわせて静かに祈る間、月は鼻をすんすんさせていたが、近くに水辺を見つけたようで私の御祈りが終わったのを待って手を引いてきた。嬉しそうだ。獣だから暑いのはやはり苦手なんだろうか? そうこうと思っていると大きな湖が見えた。……すごい。
雄大にして偉大。そして、なおさら疑問が
「
「いい」
「つれんやつぢゃのう」
「いつものこったろ」
見ると月がすでに裸になって、もとい狐の姿に戻って水遊びに飛び込んでいた。私は湖のほとりに腰をおろして腰に
誰かが来ても月はすぐ化けるし、そうなればこの真夏に陽がガンガン当たる場所でただ座っていては奇妙だと思われてしまう。そして、月が満足するまで遊ばせているとなにやらものものしい集団がやってきた。
なんだ。お貴族様が
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます