一九七話 退屈我が子をあやし寝かしたら
あの
このまま平穏が保たれればいいなー、というのは考えちゃダメなんだろうが、な。
それでも考えてしまう。ついこの間、泉宝とごたついたばっかりなんだから余所もちょーっと様子見兼ねて息をひそめていてくれよ。なんつったって起こるものは起こる。
それこそ必然で。世の中の無情な
当たり前に引き起こされる。ひとの手によって起こり、起こされ、殺し殺され殺しあってしまう。しょうのないというか、どちらかといえば
だろう、そうだろ。そのことも虎静はしっかり学んで大きくなっていってほしい。殿下を超えろどうのより、世界の残酷さに打ち
それが嬉しいし、喜ばしいと思える。だって、世界は、世間は甘ったるくない。ここ
一歩でも外の世界に身を投じたら、そこは地獄と平穏の
悲しくて冷たいようだけど。現実を捻じ曲げて教えることでこのコの
できることなら私より長く生きてほしい。
そう願うのも私の仕事だ。世界に向けてこのコへの
「あう、ああ、ああ、あああああん!」
「おーう、よく泣くなあ。抱っこか?」
不意にそう思ったので虎静を腕に抱きかかえてやるとしばらくぐずっていたがややあって泣きやみ、私の緩く整えている髪をにぎにぎ遊びはじめるので退屈だったらしい。
ひっそり
なので、がっつり
赤子に母が歌ってやっていた
だが、そこからも私は歌い続け、腕に抱き続けた。……なんて浅ましい
私だって、生まれたからには「こう」されて
こうしてしまうのは。
そんな彼が私などを我が子だと思ってくれるだけならまだしも想ってくれて、愛してくれるだなんて妄想もいいところではないか。なにも
これ以上なんて贅沢だ。罰が当たる。愛するひとと結ばれて子をもうけて、そのコを世話できて……。これ以上になにが要る? なにも必要ないじゃないか。そうでしょ?
トントン。扉を軽く叩く音。
視線を扉の方に向けて思わず噴きだしそうになってしまったが
そこにいたのは
「
「ちゃんと休んでいるの?」
「え、あ、はい。や、ええ?」
混乱。ど、どどどう、どういうことだよ。たしかに
念の為、月に目で確認を取るが狐は肩を
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