一四二話 ただいま、と侍女事情、と風呂
「ただいまー」
「ふふ、どうぢゃった?」
「……あったかい」
「……そう、そうであろうとも。お。そうぢゃそうぢゃ、こやつらの案内は終えた」
「ああ。ありがとう」
「なに。
「あの、本当によかったのでしょうか?」
私の
優しい気持ちになれるだけじゃない。熱い
そうあるからぬくもりであり、厳しさでもあるそれが
それとそう、新しいでいえば私はようやく宮に
そうした女性たちは私の誘いにぜひ、と声を大にしてそれ以外に
金狐宮に入ったあやかし女性たちは芽衣も含めて九名ばかり。他の宮の
なにしろ、みなさん人生ならぬ
そんな中、芽衣は泉宝でそうしていてくれていたのと当猫が言っていた以上に月が保証したので私の毒味係に任命した。これで今晩からは
芽衣は泉宝の国をでる前に
彼女はしばらくも両手をあわせていたが、やがてふう、とひとつ息をついて目元をぐいっと拭って馬車に乗り込んでいった。……多分だが、大丈夫だろうな、このコなら。
その芽衣だが、まだ、月の施設案内があったのにまだ困惑気味だ。自分から毒味役を申し出たのに、なあ? おかしなことだが、然樹の態度からしても現状は
陛下たちが、現
「ここにいる限りは私が守るよ」
「ですが、その、
「ん。敬称つけられるのあまり慣れないけど慣れていくにしようかな、私も一緒に」
一緒に。みんなと一緒に歩む。みんなが尽くしてくれるなら私も尽力して立場を保証するよう
その月が遠慮ない物言いや態度に振る舞いをするのだから、私の金狐宮内に限っては対等な関係で
湯を体にかけて布で髪を纏めてから湯につかった。ちょうどいい湯加減。最高だ。
ふう。気持ちいい。疲れた心身に沁みる。
……なんか、
私は自己消臭機能でもあるんだろうか? なーんてアホ考えていないで自分洗濯しようっと。湯からあがった私は
なんでもこれを使うと余計な
久しぶりの風呂だし、使ってみよう。そう思って髪を丁寧に濡らして湿らせて
それを頭皮にペタペタつけていく。生え際や耳のそば、後頭部と頭頂部につけたそれをこすっていく。爪を立てないように気をつけて洗う。わしわし、もこもこいい香り。
心地よい香りで湯殿が満たされていく。これ、
ざぷざぷ、ざばり。湯で洗髪剤をよくすすぎ落として最後に湯をかぶっておいた。
ああ、さっぱりしたし、気持ちいい。顔の水気を拭き取って髪を絞って水を切る。
脱衣室に戻って新しい手拭いで髪、体、顔を拭いていって、誰かが用意してくれた新しい服を着込む。濃い紫の布地が
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