一四一話 おかしいなあ、なぜにこうなった?
「
「殿下のド
「静、無事で安心したわ。
「ご迷惑とご心配をおかけしました」
「それで、どういうことかしらねえ?」
ああ、よかった。と思いかけた矢先、鋭い皇后陛下のお声というかお言葉に体がきしりと
皇后陛下がなにを言いたいもとい訊きたいのかわからずに私が困って視線を他のふたりに移すも他ふたりも皇后陛下には及ばずともかーなーりー怖いお顔をしていらした。
え、どういうこと。私なにかした? いや、敵国に捕まって心配をかけたのはそうだったけどなぜ、殿下を庇った結果をそんな
「おバカ働いた阿呆をなぜ庇ったの?」
「え」
「あなたにもしもがあったらどうするの」
なにこの
あなたの大事な息子ではないのですか。なぜまるで殿下より私、の図ができていそうなそういうよくわからない状況なんで? しかもここに私を助けてくれるひといない。
皇后陛下のつきつきりと冷たい言葉に身じろぐこともできずいる私は四阿の入口で硬直しているし、
あるえ? 笑顔なのにどうして背景に鬼やら
こ、これを私は自力で乗り越えろと? 自力でなんとかせえ、というのが月の罰?
無茶働いた私へのあの
「……。静」
「はひっ!?」
「あなたはわたくしたち三人全員の娘であり、大切な妹も同然なのですよ? どうしてそれがわからない、わからなかったのかしら。バカ息子の
こ、皇后陛下? バカ息子、て。それに私なんかを娘、だなんて言ってくださるなんてそんな畏れ多い。しかも美朱様に桜綾様も、心同じく、だなんて。んな好都合な夢。
が、私が考えていることが
でも、どうして私? だって、もう
それってつまり、この三妃たちは他の四夫人にも授業をしているんじゃないのか?
なのに、なんで私が特別、みたいな――いや、これは一から叩き込んできたことで起こった
するわけがない。ありえない。あってはいけないでしょう。今回のことでもわかったことだが私などやはりただの、たかが
なのに、どうしてですか。なぜなのですか。なんでそんな胸潰されかけたような表情で私を、見るのでしょうか。やめてください、私にそんな情受け取る資格ないのでは?
あなた方の心配の
「他、四夫人として入ってきたコたちにも授業はするつもりです。ですがそれとこれは別でしょう。あなたは
「へ、陛下?」
「なぜ、いつまでも自分を愛せないの?」
「それは、だって、私、わ、たし、は……」
「静、いい加減になさい。
ついに美朱様もキレた。怒りの声をあげて掴みかかる、なんてはしたない真似はしないが怒りで肩を上下させている。どうして? どうしてそこまで親身になってくれる?
私なんてただの他人、ではないのか。そうかそっかそうなんだ。でもどうすれば?
他人に想われて、愛されて、
殿下はそりゃあ、好きだのなんだの言ってくれていたし、時々「癒やし」だと理由づけ抱きしめてきた。でも彼女たちは同性のそれも講師たち。女性としての格も最上だ。
それなのに、そんな方たちの想いを受け取ってもいいのか、私が? 鬼の娘、が?
ああ、これもいけないのか。私は、鬼の、浩の娘だけど人間として誇り高く
その後も三妃たちにこってり絞られた私は食べなさい、飲みなさい、と言われるまま菓子と茶をこれでもか、と押しつけられたし、食べきれなかったものは
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