四話 なんか、変なもん拾っちまった
ぐったりした体に触れ抱えても動かない。でも、温かい。命の温度。だから捨て置けなかった。それを放置したら私は大嫌いな
それだけはまっぴらゴメンだ! そんな気持ちがあった。凪いだ
内心苦笑し、私は
だけでなくというか、こちらの方がより大きく驚きだったんだが、狐が狐のクセにただの狐らしからぬよう口の端を持ちあげてにんまり、と音がつきそうに笑ったことが。
びっくりだった。驚いたし、なにかに対して恐れを抱いたのはそれがはじめてで。
「物好きよなあ」
「!」
「ぢゃが、
「……」
ぽつ、ぽつ。雨が降る音。
しばし、無言が続いた。双方共に。狐の方はおそらくだが私がなにも言わないことを
「雨天に女を放りだそうとは
「知るかよ。誰だ、てめえ」
「ほほう。
「どうでもいいだろ、汚れ
「名乗ったぢゃろ。呼ばんか、
躾。ある意味での躾なら受けているがそれをこの狐に話す義理もないので私は
妖狐――月と名乗ったそいつはだが干物の魚を一瞥もせず、私の足下でいる。いたが急にばったり倒れた。私がつまらん演技だ、と鼻を鳴らすも、起きないで伏せたまま。
しばらく放置してみたが一向に起きる気配がないのとはっ、はっ、と
一通り狐を綺麗に拭いてやってから居間にあげ、私が編んだ
狐は、薄目を開けて
狐には魚を焼いてやる。身を骨から外し、皿に小さなお山をつくってやって目の前に置いてやるとふらふらしていたが狐は食べはじめた。小さな、体。拭いてなお汚い毛。
「明日には雨があがるからでていけ、妖狐」
「妾は
「どっちにしろ狐だ。大差ないだろ」
「あるわ、バカ垂れ。不敬ぢゃぞ、娘」
「……。……
「ふむ。揺らがぬ水面を
「知るかよ。どういうつもりでつけたのか」
この時、月の頭上に「?」が浮かんだが
で、うるさくされるのは嫌いだったのもあり、軽く身の上話をしてやって、月の話もお義理で聞いてやった。月は一〇〇〇年を生きた天狐で、現在は
私は話を半分も
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