一〇九話 許せない、許せない、絶対に
想像だけで吐き気がする。自分自身の最低さに反吐がでそうだ。どうして、
なのに、それなのにどうしてしまった、俺はどうしてこんなバカをしてしまった?
普段の俺なら絶対に引っかからないだろうに。あの皇太子の
静が、彼女の存在がそこほど大きかった、ということでそれを失った今、俺は
事態を招いた俺だけは
俺のせいで失った。敵の手に
「殿下、どうか落ち着いてっ」
「俺のせいだ、俺のせいだ俺の俺の俺の!」
「殿下っ。
「それを本気で言いおるのかえ?」
冷たい声。月の声はその持ちえる
本気で言っているのか、と。この場にいない者といる者。このふたつの
血の水溜まりができているそこ。細かい
そして、この場にいない。いる筈の存在がいないことでおおよそを察した厽岩は頭を抱えて自身を責め続ける俺を見つめて
俺は、俺だけはそれを、慰めを受け取ってはならない。慰められるべきは俺のせいで
彼女はきっとこの場を軽々と乗り切っていた。こちらに出向いていたあやかしの集団は泉宝の皇太子、
誇り高い月のことだ。俺のこの最悪の罪を
主人の為ならば自らの手を汚そうと気にしない。そしてそんな彼女だからこそ静を目の前で連れ去られるのを許してしまった、俺のお
俺なんかを「頼む」と託した静の清さが恐ろしくあり、悲しくあり、
ああ、だがそんなことよりなによりも静だ。どうしようどうしたらどうすればいいのだろうか。ここで
なにしろ「研究し
彼女ではなく俺を挑発した。俺が、もしも俺が捕まって
地に突き立てられた槍。それをした
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