八七話 この狐、いろんな意味ですごい
「なんということもないのう。そこいらの
「おい、追い討ちだからやめろ、
「事実ぢゃろ?
「なんにしろ、てめえほどじゃねえけどな、私の方は。手加減無用とか
攻撃、純粋攻撃の次は言葉で精神に追い討ちかまそうとしていやがる
てか、名前に
まあ、月の言うことも間違いではない。数が多いだけ
本格的に可哀想だ。崩れた
壁の向こうの兵たちは体各所が濡れていたが、手の隙間から見えた
私たちは言いあいをやめて陛下たちの方を見た。陛下は手を叩いていた。殿下も。
「瞬殺だったなあ」
「へ、ちょ、陛下、そんなものではありませんぞっ! な、なな、なんですかアレ」
「うん? アレがこれまで禁軍でもいなかった
「こ、高位の式? ってあんな細い娘が一体どころでなく二体も式をつけているとおっしゃられますか? あの女は面の通り狐、それもより
んお? おお、あの将軍様すげえな。月のこときちんと理解していやがる。
まあ、実際のこいつは
そんなようなことをいつだったか旅路のどこかで言っていたっけか。興味なかったので流していたが、やはりこいつは反則だよな、そうしたら。でたらめすぎる力の
そして、私自身も中に
高位のあやかしというのは
本当に人間にとっていい意味で、同じあやかしにとっては「はあ?」みたいな具合におかしい者はそういう
月の話で聞いても彼女が生きてきた一〇〇〇と余年においても人間に力を貸した高位のあやかしというものの実例など本当にほぼなく、月も私がはじめてだと言っていた。
「あのコは、度重なる不運と一粒の幸福であの力をえた。それこそ死の危機に
「……。そ、うでしょうな」
厽岩将軍は即行で理解した。私がどういう目に遭ってきて、どういう生き方をしてきたかを想像ではあるが、容易に思いいたってくれた。
そして、だからこそわかったのだ。陛下が私を禁軍に
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