一〇二話 覗き、だけではないようだ
……うえええ。変態かっつの!
窓から身を乗りだしていた
「女将軍、など
「てめえは
「まあ、広い意味でな。触れた者に
なんともあっさりネタをばらしてくれやがった相手の声はまだ若い。いっていて二〇代の半ば、だろうな。ずいぶんと若い
式を持っている官吏に一時的に憑依している相手は陛下をじっ、と見てから殿下に視線を移した。小バカにした顔を向け、けたけた笑う相手はだいぶ「イイ性格」のよう。
「残念。そこなひとりと一体が警戒していなければそちら代表たりうるふたりのどちらかに憑依すれば戦わずして降参させ、
「どうも」
「褒めちゃあいない。ああ、この水は
そう言う男の声は本当に残念そうではあるが同時に楽しそうでもある。なんだ。なにがおかしい? おかしなことなどなにもない筈だ。こちら側にも、向こう側にも……。
それともなにか特殊な
わからないながらにわかることも多少なり。この式を
思想
駒として
月の様子からして術の形式では一方通行である臭い。なのに、送受信は可能とか。
「知らん声だな。どこのどいつだ?」
陛下たちの前に
厽岩将軍の問いに相手はくっく、と笑って明確に、それでいて驚くことを言った。
「申し遅れた。泉宝国は
「……ああ、聞いたことのある声だと思ったらやはり貴様か、然樹。らしい
「ふん。
私が水をかけた官吏の膝が
そして、ひたり私を見据えてきた。いやな目。
が、相手はそれ以上になにも言わず憑依を向こうからといたようで官吏がその場で崩れ落ち、紙の式は水に濡れてぐじゃあ、と潰れた。……いや、それにしても皇太子ね。
私はうちの、というかこの国の皇太子を見てみると苦い苦い、それはそれはとてつもなく苦い蟲を噛み潰したようなお顔をしていらした。なんだ、なにが不機嫌に触れた?
すると、視線を感じてか殿下がこちらを見たので首を傾げてみた。ら、顔
なんだ、いったい。とは思えども私は陛下の方にも視線を寄越しておいた。どう考えているのかわからなくてちらり、したになる。陛下は厽岩将軍と話し込んでいたけど。
私の視線に気づくと私の頭をぽん、と
私がそちらを見ると恨めしげな視線の殿下がいた意味不明でした。どうしたのよ?
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