八五話 えっと、ある意味罰でも当たった?
「陛下、本日はどのような?」
「ああ。みな知ってのことだと思うが
「はっ、あやつらの軍事行動はまあ、毎度のことではありますが、
「うむ。そこで新しい
ということ。それだけ言って陛下は私に視線を寄越してきたので私もいい加減不機嫌面をやめてなおっておく。陛下に「ルイガン」と呼ばれた別格の
だよね。私だっててめえの立場だったらそう感想を抱けた。陛下の言に「まさかそんなバカな」と思っちゃうのは当たり前、ってなもの。そりゃそうだ。この会話の流れ。
そこから想像できないなんて二軍の将どころか三流の将軍もどきがいいところだ。
「まさか、陛下。そこの女」
「察しがよくて助かる。このコ、
「
「それ以前の問題だっ! 女が禁軍になど」
だよなー。私もそう思う。……あれ、さっきも同じようなこと考えなかったっけ?
ってのはよくて。あの、ちょ、殿下? なにを怒っているんですか。あなたの方がよっぽどひどいことというか仕打ちというか精神的苦痛を与えやがりましたんだけどね?
と、いうか陛下。
……ん。私、どれだけ根に持つんだ。こんなしつこく
そういう意思表示に私は殿下に向けて(陛下と
どうして私ばっかり悪いことした気分にならねば? 不公平だ、畜生。まったく。
「納得いかんか?」
「そ、れは、いかに陛下のご命令でも」
「では、そうさな。そこの一団でよいか」
「は?」
「うむ。見るのが手っ取り早い。やはり将兵たるは
ちょっと待って陛下。私戦いについては
あの、
いや、えー。いやだー。あんなムキムキむさむさしたのと喧嘩、喧嘩で済めばいいがそれでもそんなものするの。
陛下、あやかしをぶっ殺すのと人間と模擬戦するのは全然別物です。そこ、間違えちゃダメな点ですのでどうかよろしくどーぞ。って、言っても無理なんだろうな。うん。
だって、陛下に指差しされて名指し、はされていないが選ばれた男たち、五名が戸惑いつつも前にでてきたのでこれもう完全に
「し、しかし、陛下。こちらが五名でそっちが二め、いや、ひとりと一体はやりに」
「ん? なんだ、一〇対二がよいのか?」
違う! そっちじゃないでしょうが、陛下なになんなの、ボケで突っ込み待ちか?
五対二なんて私たちが不利に決まっていると言いたいのにどうして相手の数をさらに増やそうとするんだ。変だろ、おかしいだろ。……うんうん、厽岩将軍は同意見だな。
同意見、ではあるがちょっと、ちょこっとだけ興味が湧いてきているご様子でもあって困ったことに。陛下がここまで言う、言い切って五対二などという模擬ながら団体戦を楽しく思ってもいるみたい。その厽岩将軍の背にいる兵たちは不満そうな膨れ面です。
まあ、そうだろうな。気持ちはわかるが私の気持ちはわかってもらえなくなっちゃったっぽいね、これは。あのね、鍛えられた兵たち五人対私と月のひとりと一体てなに?
虐め。意地悪。
なので、殿下にはありがた申し訳ないが、無視しておいた。殿下も意を汲んでぐ、と黙ったようだがいざ、私が危険になりそうならば、助けに入る気満々ではあるっぽい。
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