一四九話 朝餉。仕事割り振り。勉強。伝言
「ご馳走様」
「
「お前たちの心配は嬉しいが、人間は悪意で動くばかりではないのだ。一見、悪意に見えても当人にその気が皆無、ということだって普通に起こりうるのだから疑心暗鬼は」
「そうぢゃの。肉も綺麗ぢゃったし、上手に仕留めて締めてあった。慣れていることや得意なことで誠意を贈りたい、と思ったのが他の目には悪意にうつっただけであろう」
疑心暗鬼に駆られる必要ない。そう言いかけた私に他の
まあ、ぶっちゃけどうでもいい。誰が悪意を持とうが、善意を持とうが。そんなもの
殿下に新しい
それでも可能な限りは平穏を保ちたい。殿下の
できるなら眺めているだけで自然を
「
「はい。あまり長く話し込む時刻ではないでしょうし、二品ほど厳選しておきます」
「頼むよ。ああ、あと一応膝掛けなんかも」
「かしこまりました。では支度でき次第お使いにだします。あとはお任せください」
「ん。よろしくな。私は
「あ、の不勉強で……」
「いや。私も最初はできなかった。学ぶ意欲と必要があれば誰しも努力するし、できるようになったら嬉しいことが増える。芽衣も先々で役に立つから学んでほしいだけだ」
強制するわけではないが、それでもできることが増えるのが嬉しい、というのを味わってほしい。ただそれだけで他意はない。第一にそれを言っちまうとこの
月は今も面倒嫌いだが、私が関与することについては多少なり「面倒ぢゃ~」が薄れるようでいい傾向だ。私は元こそ不勉強で不心得だったが、今はまじめにやっている。
やはりアレだ。やる気があれば、そして教材があって講師がいいひとだと結果として伴ってくれるようだ。あの
芽衣は私の
私が初期の初期、勉強をはじめるに当たって文字が読めない、もしくはあまり多く知らなかったのでもらった
軽い昔話や
私が
元の頭の出来が私より上等そうな芽衣ならばもっと早く覚えられるかもしれない。
そうして、芽衣と一緒に勉強を、
「静様、あの、どういうこ」
「
「そんな、まさかっ」
「大丈夫だよ。桔梗、暮れに殿下を待って所定の場所で、とお伝えしてくれるか?」
「……。わ、かりました」
渋って嫌悪しているようだが、私がひとりではないという部分で納得したのか桔梗は去っていった。すぐ階段をととと、降りる音に続いて玄関の方で少し騒動しているが。
とりあえず、少し程度騒動で済んでいるので相手方もバカではない、ということ。
じゃなきゃ、私に伝言させる前に殿下が聞いたら「知るか!」と叩き切るかもしれないし、月に見つかっても高笑いで燃やされる、だなんて知れたことに決まっているし。
……いや、殿下の場合は自身の自業自得だ、と自虐しながら伝言に来たブツを通しただろうか? ふむ。あのひと本当にまじめでお堅いところがあるからいまいち読めん。
月の対応は知れたこと。焼却一択。うむ。わかり切っている、というやつだよな。
あいつ、アレで
まあ、事前に聞いていた通り。普通の人間が毎日毎食飢えを覚えるように「彼」の飢えも当たり前に彼を襲い、苦しめる。和平を一時、仮に結ぶ為に取りつけていた約束。
本来ならもっと早く要求が来るかと思っていた。それこそ帰る前に少しだけとかそういうの言われるかと予想していたんだが、そうでもなく。およそ五日は経過している。
最後にされてから五日。大丈夫だったんだろうか、なんて思ってしまう私も甘い、のかなあ? 生憎と自分自身のことは自分が最も知りえない、というのが人間だそうで。
私は呼び鈴を鳴らして侍女
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