三一話 皇宮の説明と天狐の思いは告白を聞き
馬が
思ったより低い建物だ。その向こうに見えるのっぺりした建造物はなんだろうか。
「
「レイビョウ?」
「祖先の魂を祭った場所、でわかるか?」
「ふうん」
「その向こうに見えるのが皇宮の
「へえ。詳しいな」
「たわけめ。長く生きておるのはこういうことにも長けることに同義ぢゃ。様々な知識や
そりゃまたろくでもねえな。だけど、私が拾ってからこっち、こいつがした悪さなんて
いいコのフリをしている
「ぬしに救われたでの」
「そう」
「うむ。でなくば、当初ならば、全快した暁にはあの
「そりゃどうも」
月のいつもらしからぬ優しく真剣な言葉に私はだが気のない返事をしておいた。月は人間じゃない。その言葉はいいも悪いもまっすぐだとわかっているが、尻込み、する。
月はそこも熟知してか、笑って流し、もうひとつ頭を撫でてから自らの着衣にも一応目をやっていく。いつもだったら「暑い」だの言ってだらしなく乱しているところだ。
が、一応人間の中では最も
私は緊張と恐怖から口数少ないまま到着を待っているとガタンと段差に乗りあげたようで馬車が揺れたので外を見ると
私は頬を軽く張ってない気合いを入れるだけは入れておき、
まあ、そんな例外は私のすぐ隣に降り立ってきたわけで。月はいつも通り
階段をのぼり、上の階にでた。案内の彼は長い廊下を進んでいき、やがて一枚の扉に到着したと同時に、頭をさげて去っていった。……放置か。とは思ったが、軽く叩く。
「入るといい」
部屋の中から優しい声がする。あの湖で聞いた
「よい。
「どうぞ、かけてくださいな」
「はっ」
短く返事をして私は礼をやめて部屋を進み、長椅子のそばで月が来るのを待った。
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