エピローグ④/あとがき
その後の話をしよう。
結局レンは、俺以上に素晴らしい国王へと成長した。まぁ、国王というよりは総理大臣の方が近いかも知れない。レンは腹違いの妹であるサクラを正妻に迎えると、ハーンブルク連邦の更なる発展に貢献してくれた。まぁレンの長男、つまり俺の孫が18歳になったタイミングで同じように家督を押し付けたという話を聞いた時は、流石に笑ったけどね。
俺の子供達は、それぞれ自分の道を見つけて成長していった。レンの下でハーンブルク連邦を支える道を選んだ子もいれば、サッカーを極めてプロサッカー選手になった子もいた。まぁでも、一番大事なのは子供達の仲が凄く良い事だ。親である俺は参加させて貰えていないが、月一で子供達同士で集まってみんなで寿司パーティーをしているそうだ。
親としては、嬉しい限りだ。
ユリウスとカレンの2人は、俺が引退してもすぐには身を退かずにレンを支えてくれた。もちろん、今はもう第一線からはとっくに退いており、現在はリアドリアに豪邸を建てて夫婦でそこで暮らしている。子供達を育てつつ、穏やかな日常を送っていた。ちなみに、ユリウスは結局カレン以外に妻を娶らず、一夫一妻を貫いた。
お母様は結局、ハーンブルク連邦の政治界から引退した後、お爺様の商会を受け継いで経営する道を選んだ。お父様はお母様の補佐兼、護衛という立ち位置になっておりこちらも夫婦で仲良く暮らしていた。
まぁ念のため、お母様にはやり過ぎない程度に留めるようにお願いしてある。お母様が本気を出せば、ハーンブルク連邦の中小企業は全部倒産してしまい、挙げ句の果てには連邦政府とバチバチにやり合う未来がみえるので娯楽程度に抑えるように言ってある。
代わりに、サッカーの監督に関しては全力を出しても良いと伝えてある。この国では、商人よりもサッカー関係者の方が頭の良い人間が多いからだ。あの化け物達ならば、お母様とも互角にやり合えるだろう。
俺の唯一の姉であり、デュークス家に嫁いだファリア姉さんは、デュークス島がハーンブルク連邦に加入したのを機に、テラトスタに住み始めた。デュークス島に残る道を選ぶ事も考えたが、結局利便性を考えてテラトスタを選んだそうだ。
え?俺のもう1人の姉さんはって?俺には姉は1人しか居ないが?
気を取り直して、次はハーンブルク連邦の科学力の向上に大きな貢献をしてくれたアインだ。彼は大方の予想通りその生涯を全て研究へと捧げた。彼は結局、あらゆる分野で時代を牽引し、技術力を大きく前へと進めた。家族以外で、最も重要な人物は誰か聞かれたら、間違いなく彼を選ぶだろう。恐らく彼は今も、元気に明け暮れているだろう。
ちなみに、一度研究から離れて副業をするように勧めた事があったが、結果彼は別の研究を始めるというまさに研究者の鑑のような事をしたのは別の話だ。
そして、俺はというと・・・・・・
「先生〜サッカーしよ〜!」
「先生も入って〜っ!」
「サッカー!」
「あぁいいぞーちょっと待ってろ。」
俺は政界引退後、シュヴェリーンの副都心に自費で小中高大一貫校を開校した。前々から、教師というモノをやってみたかった俺は、理事長兼、王立高度育成学校の先生をしている。この学校は一学年60人前後の少数精鋭で、ハーンブルク連邦中から集めた優秀な少年少女を集めた学校だ。
現在では、それまで上位を独占していたハーンブルク連邦大学や州立シュヴェリーン大学を抑えて、人気度や充実性、偏差値といった多くの分野で第一位に君臨している。様々な分野における未来のリーダーの育成を目標にしており、俺はそんな彼ら彼女らの育成に全力を注いでいた。
「はぁはぁはぁ、しんどい。小学生の体力やば過ぎだろ。」
「あら、あんたがただ単に運動不足なだけでしょ?」
「なら、変わってくれるのか?イレーナ」
「遠慮しておくわ、私はこの後経営科の子達に授業をしなきゃだし。」
真夏の昼間だというのに、子供達のエネルギーは留まる事を知らない。
仲間に加わりたそうにこちらを見ていたイレーナを誘ってみたが、残念ながら釣れなかった。
「みなさーん、イレーナ先生も入ってくれるみたいですよー」
「ちょ、ちょっとヘレナっ!」
「わーい、イレーナ先生だー!」
「一緒にやろー!」
「イレーナ先生はこっちチームねー」
「あーもうっ!20分だけだよ!」
子供達の声にイレーナも折れ、みんなでサッカーをする事になった。
俺の妻達は、俺のやりたい事を応援してくれた。俺と同じ、王立高度育成学校の教師となり、それぞれ得意な事を子供達に教えてくれている。
そして、俺の7人目の嫁である、アイはというと・・・・・・
【判断が遅過ぎです、それだと相手が優秀なら死んでますよ。】
「はいっ!」
【筋は良いのですから、周りの状況をもう少し考えた上での行動を期待します。】
「はい!ありがとうございます!」
「やってるな、アイ。そっちはどんな感じだ?」
【はい、とても良い子達でみんな筋が良いです。将来はきっと、素晴らしい戦闘メイドになると思います。】
「そうか。俺の心残りは、無事払拭できているようだな。」
【はい、十分に。きっと彼女らが、ハーンブルクの明日を守ってくれると思います。】
「それは頼もしいな。」
アイはその後、俺との結婚生活をすると同時にハーンブルク連邦を裏から支える少女達、『戦闘メイド』の教官をしていた。
何でその道を選んだか聞いたところ、何となく『とりあえず戦闘メイドを育てよう』と思ったらしい。
これは間違いなく、アイ自身の選択だ。
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あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
私史上初めての2部構成という事で色々と戸惑う部分はありましたが、皆様の応援のおかげで無事完結を迎える事ができました。
途中、変な道に行っちゃった時も何度かありましたが、完結できた事を作者として嬉しく思います。
さて今後についてですが、本作の続編を作る予定は今のところありません。スピンオフならば書くかもしれませんが、第3部はよほどの事が無い限り書かないと思います。ここまで応援、ありがとうございました。
それでは今日から佐々木サイは何をするかというと、温めておいた新作を今日からストックが切れるまで毎日更新したいと考えております。面白さと完結は保証しますのでぜひ読んで見て下さい!
それでは、今日から更新をスタートさせる新作『異世界から帰還したら地球がピンチだったので、とりあえず地球を救います。』でお会いしましょう。
佐々木サイ
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