ss 歴史

例によって、ボツになったエピソードを公開します。

ボツ理由は、私が公開するタイミングを逃したからです。(つまり作者がアホだった)


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ある日、いつものように研究室へ行こうと思っていた俺であったが、部下の1人に相談したい事があると言われ、そちらの対応を行う事にした。

という事で、彼らの元へと出向くと、既に多くの役人達が集まっていた。

その内の1人が、代表して俺たちを迎える。


「本日はおこし頂きありがとうございます、レオルド様」


「教育は、領地経営において最も大切な事の一つだからな、いくらでも頼ってくれ。」


「ありがとうございます。」


俺たちが訪れたのは、先日できたばかりの学校を統括するための組織、教育統括庁であった。

最近、ハーンブルク家が運営する学校だけでなく、いくつかの会社(商会)が共同で運営を始めた商業学校が誕生した。

ハーンブルク領で働く労働者や研究員を育てるのではなく、商業に特化した事を教える学校を作りたいという要望があり、俺がそれを許可した。

同時に、全ての教育機関の統括するための組織、教育統括庁を作成し、領内外にある学校の管理をさせた。

そして、彼らから上がった問題というのが・・・・・・


「歴史や地理の勉強をするための教科書を作ろうと思ったのですが、どの程度まで教える必要があるのか、レオルド様の意見を聞きたいのです。」


「なるほど・・・・・・確かに国境とかはよく変わるし、歴史も信憑性に問題があるからな。」


「はい、それにハーンブルク領外の情報が少ない事も問題です。周辺ならばある程度の推測値はあるのですが、遠くの国の情報はすごく少ないです。我々の予測値を教科書に載せるか、それともそもそも空欄の方がいいのか、悩んでおります。」


「確かにそれは問題だな・・・・・・」


印刷技術の問題から、生徒全員分の教科書を用意する事はできないが、教師全員分の教科書は用意する事になった。

間違った事を教えられても困るし、教科によって偏りが出ても困るからだ。


とりあえずは国数理社と体育の5科目は必須科目とした上で、いくつか自由枠を設けてそれぞれの学校に適した授業を行ってもらう事になった。

ちなみに。ウィートンでは音楽、サンセバスでは料理の授業をするらしい。


国数理の3つは、俺の知識から引っ張ってきた具体的な数値を利用して、結構ちゃんとした教科書が完成したが、問題は社会だ。

どの学年に、どのぐらいの情報を与えるか、本当に悩む。


地名とか、人口とか、面積とか、特産品なんかは載せてもいいのかな〜って思うが、経済力や軍事力のバランス、貿易状況や宗教についてはどのぐらい載せればいいのだろうか。


そして、記載するかどうか、考える必要がある事項がもう一つある。

それは・・・・・・


「それと、以前の話し合いにも出ましたが、現代史についてもどのぐらい掲載するべきなのか悩んでおります。具体的には、ジオ連邦共和国が誕生した経緯やトリアス教国が滅んだ背景などです。」


「領民全員が知る必要は無いと思うが、ある程度の教養は付けるべきだよな・・・・・・」


民主主義国家においては、国民が政治にあまり関心を持たない状況の方が、政府としては好ましい。

しかし、現在のハーンブルク領の体制においては、従順な領民よりも、様々な産業を発達させてくれるリーダーを欲している。急拡大し過ぎたハーンブルク領では、常に人材不足なのだ。


これから先、武器による戦争だけでなく、外交や口論による戦争も起こるはずだ。そういう時に活躍できる人材が欲しい。


「現代史も載せてくれて構わない。むしろ、古臭い歴史よりも最近の世界情勢に関する内容を多めにしてくれ。」


「なるほど・・・・・・では、先の戦争についても記載しますか?」


「あぁ、それとこれから先、起こりうる問題もだ。いざという時に対応できる人材も欲しい。」


「了解しました、その方向で調整します。無論、現代史の詳しい内容については、高等学校からになりそうですが・・・・・・」


「あぁ、それで頼む。」




数週間後、教師全員に教育統括庁が発行した教科書が正しく届いた。ハーンブルク領についての詳細な情報が載っているという事で、購入を希望する声が多かったらしく、超高価たが数千部ほど一般に向けての販売も行われた。

その結果、レオルド信者が増えたらしい。

知らんけど。



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どうでもいい話(ボツの言い訳)


この作者、戦争ばっかりやっているせいで、投稿するタイミングが無いんですよ。

戦争中に、いきなり教科書の話出てきたらおかしいじゃん?

だからいつか投稿しよっかな〜って考えていたら第1部完結しちゃいました。




P.S.第2部で書けばよかったという事に、予約投稿ボタン押してから気づいた。

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