ss ハロウィン

ハロウィン用に温めていたら完結しちゃったエピソードです。

ちなみに、時系列的は結婚後に調整してあります。


________________________________



「ハロウィンをやろう。」


ある日突然、俺はそんな事を思い付いた。


「はろうぃん?何ですか、それ・・・・・・」


隣で寝ていたユリアは、眠そうに目を擦りながら起き上がった。

遅れて、ここが俺の部屋のベッドであり、今が早朝である事に気がつく。

そういえば、昨日はユリアと一緒に寝たんだった。


「ハロウィンってのは、今思い付いたお祭りの事だよ。10月はお祭りが少ないからお祭りを作ろっかな〜って。」


「面白そうですね、どんなお祭り何ですか?」


興味を持ったのか、ユリアが食い付いて来た。ユリアは、お嫁さんたちの中で一番おとなしいが、こういうお祭りやイベントが大好きなのだ。


「大人から子供までみんな楽しめて、各々色々なモノに仮装するお祭りだな。」


「仮装ですか・・・・・・楽しそうですね。朝食を食べ終えたら、早速『ハロウィン実行委員会』を組織しましょう。」


「人選はそっちに任せるよ、俺は具体的なイベントの内容を整理する。」


「分かりました、それで行きましょう。」


起き上がり、用意してあった服をそれぞれ身につけると、俺たちは朝食を食べるためにダイニングへと向かった。



✳︎



【相変わらずの突然の思い付きでしたね。】


いいだろ?別に。

面白そうな事は片っ端から試してみるのが俺のやり方だしな。


【問題はありません。むしろ、大きな経済効果が期待できるので、ハロウィンなどのイベントは積極的にやっていく事をおすすめします。】


後はクリスマスや七夕祭りなんかもやったら面白いかもな。


【その他のイベントも開催するために、絶対に成功させましょう。】


了解っと。


朝食時、お母様やヘレナ達にハロウィンをやらないか提案したところ、満場一致で開催する事が決定した。

お母様もだが、お祭り大好き人間がハーンブルク領には多いのだ。


早速、色々な方面にハロウィンを開催する事を伝えた。新聞やラジオ放送を使って領民全員に開催を知らせ、全ての商会に対してもハロウィンに参加するように命令した。

ハーンブルク鉄道のラッピングなども行い、凄まじい速度で広まっていった。


ハロウィン実行委員会会長には、ユリア自身が就任し、リトア王国出身の学生や公務員が多く就任した。


もちろんこれには理由がある。それは・・・・・・


「リトア王国のカボチャが、こんなに必要になるなんて、びっくりです・・・・・・本当に大きいんですね、ハーンブルク領は・・・・・・」


「こっちも、まさかリトア王国でこんなにカボチャが採れるとは思わなかったよ。」


カボチャの産地を調べたところ、この周辺で最もカボチャが採れる場所はリトア王国らしかった。

そうと分かったら、即行動。

電信を使って『サックナ』に連絡し、大量のカボチャを『ジオルターン』に運んでもらい、そこでハーンブルク海軍の軍艦に載せれるだけ載せてもらい、テラトスタに向けて出発させた。


「旦那様、最後の確認をお願いします。」


「わかった、そこに置いといてくれ。」


「分かりました。」



✳︎



到着した頃には、街の飾り付けが終わっていた。

テラトスタ、ミドール、シュヴェリーンを含むハーンブルク鉄道の7つの駅周辺の飾り付けを行った。

始めは、ハロウィンへの参加命令に困惑していた商会であったが、ハーンブルク家の公務員によって飾り付けされていく街をみて、それぞれ戦略を立ててハロウィンに臨んだ。


スイーツ店はハロウィン限定のカボチャを使ったスイーツを作り、服屋は仮装グッズなどの販売を行った。


ちなみに、ハロウィンは秋の収穫祭という事にしておいた。本当は、死後の世界との扉が開き、先祖の霊が戻ってくる日という意味もあるが、その辺は闇に葬った。

楽しい部分だけを取り出して、ハーンブルク式のハロウィンにした感じだ。


お祭り好きが多いハーンブルク領の人々も参加してくれており、それぞれ色々な方面で協力してくれた。


そして、当日・・・・・・


「ハッピーハロウィンっ!」

「ハッピーハロウィンっ!」


「「「ハッピーハロウィンっ!!!」」」


人で溢れた繁華街を、手を振りながら歩く。御忍びで楽しんでも良かったが、領主たる俺が領民と一緒になって楽しんだという構図が欲しかったので、ユリアと一緒に身分を明かしながら楽しんだ。

ちなみに、他のお嫁さん達は防犯のため、御忍びでそれぞれ楽しんでもらっている。

全員で楽しんでも良かったのだが、流石に4人全員を同時にカバーするのは、難しいので順番に周る事になった。


俺とユリアだけなら、アイがいる限り、絶対に危害を受ける事はない。


俺とユリアは、それぞれ吸血鬼に仮装して、街を歩いた。


街の人々の楽しそうな笑顔が目に映る。


「良いお祭りになったようだな。」


「はい、お菓子がもらえるので、子供達も楽しそうです。」


ちょうど目の前で、子供達がトリックorトリートと、大人に言っているのを見かけた。

子供が楽しめば、大人も自然と笑顔になる。

こうやって、笑顔の輪が広がっていく。


「私達の子供も、近い将来あんな風に楽しめるイベントにしたいですね。」


「あぁ、そうだな。」



俺達はその後も、ハロウィンを楽しんだ。



_________________________________



どうでもいい話


レオルドの弟ユリウスを主人公としたスピンオフ作品を読んだ後、第2部へお進み下さい。

第2部はこの下にあります。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る