第3話 sideイレーナ9
「それにしても、レオルドが国王で私が王妃になるはね〜。前に案が出た時は冗談混じりだったけど、今回はまじっぽいんでしょ?」
「はい、レオルド様は本格的に建国に向けて動くそうです。」
バビロン宮殿の一角で、私は同じレオルドの妻であるフィーナと共にディナーを楽しんでいた。今日のディナーはレオルドの好きなお刺身であり、私たちは極上のトロを楽しんだ。
「昔は片田舎の貴族だったのに、今じゃ世界を統べる大国の国王か〜こんな未来が訪れるなんて、誰も想像出来なかったでしょうね〜」
「そうですね。私もこんな未来が訪れるなんて微塵も想像しませんでした。」
今日の昼レオルドから建国の事を伝えられた時には驚いたが、改めて考えてみると遅すぎた気もする。レオルドは今まで、領主という立場で世界を動かそうとしていたが、それは世間的に見れば異常な話だ。まぁ、今までレオルドのような世界を支配できるような人物は歴史上には一人も存在しないわけだが・・・・・・
「そういえばフィーナって、女王の妹時代どんな感じだったの?」
「え?いきなりどうしたんですか?」
「私たちって今までずっと領主とその妻って関係だったからさ、フィーナに王妃ってどんな感じなのか聞こうと思っただけよ。」
「ん〜今までとあんまり変わらないんじゃないでしょうか・・・・・・。レオルド様をみていると、忙しい時のお姉様と同じぐらい働いているような気がしますし、あんまり変わらないと思いますよ。」
フィーナは、少し考えてからそう答えた。
言われて納得する、レオルドはおそらくこの世界で誰よりも忙しい生活をしている。たまに、ぶっ倒れるんじゃないかと思う事が多々あるが、残念ながら私はレオルドが病気になったところを今までに一度も見たことがない。疲れてそのまま寝ちゃっているシーンは何度か見た事があるが、翌日にはたいてい元気に仕事している。一体どのような原理なのかは知らないが、昔からそういうものなんだと割り切っている。
「確かに、レオルドがこれ以上忙しい生活をする未来は見えないわね。辛いとか大変とか言いながら、結局こなしちゃいそうだわ。」
「そうですね・・・・・・。」
2年の結婚生活を得て、フィーナもレオルドの事がよくわかったのだろう。私たちの夫の性格と行動パターンを考えれば、そのような未来が容易に想像できた。
まぁ、いつものことなので仕方がない。
「そういえばだけど、フィーナって今までどんな生活をしていたの?」
「別に今とそんなに変わらないですよ。まぁ少しだけ、今よりも忙しかったですけど・・・・・・」
「へ〜」
「昔の私たちには今のような味方はいませんでしたから、その分忙しかったんです。」
以前、こっちに来る前の話をフィーナから聞いたことがある。幼い頃に両親を亡くした彼女たちは、それはもう大変な暮らしをしていたらしい。王位継承権第一位出会った彼女の姉リーシャが新たな女王になると、以前までは従順であった有力貴族の多くが国王の座を奪い取ろうと画策するようになった。だんだんと自分勝手な行動をとる貴族が増え、周りの貴族を信用できなくなったそうだ。
それから、彼女たち姉妹は寄り添いあいながら生活していたそうだ。
だから当然、味方なんかいなかったし、両親が残した唯一のものである国を守るために奔走したそうだ。
「もうこの街には慣れたみたいだわね。」
「はい、ここは暖かいところです。ここの領民はみんなレオルド様が大好きで、協力的でレオルド様の役に立とうと日々頑張っていている姿をよく見ます。ここは本当に、いい街です・・・・・・」
「確かに、この街の人たちは異常だわね。私はもう慣れたけど、初めてこの街に来た人はたいてい驚くそうよ。それで、ここで働いているうちに永住を決めちゃう。ここじゃなくても、ハーンブルク領内に住みたいって人がほとんどだわ。一度住むと、ここ以外の生活は考えられなくなるんだよね〜。」
「確かにそうですね〜」
レオルドの話では、最近ではさらに人口が増加しているらしい。特に、地下鉄の発達によりシュヴェリーン郊外に住む人が凄く増えたそうだ。シュヴェリーンの都心に1時間足らずで行けるようになった事から、賑やかな都心ではなく郊外に住む人が増えた。
にも関わらず、この街は他の都市に比べて極端に犯罪が少ない。以前レオルドが言っていた、犯罪を減らす最も有効的な手段は、領民を裕福にする事だそうだ。
確かにその通りだった。
最初に聞いた時は疑問に思ったが、今はその意味も理解できた。
「私が王妃か〜」
「楽しみですか?」
「どうかな〜私としては、王妃になる事よりも、レオルドが国王になる方が楽しみかな〜」
「きっと、いい国になると思いますよ。」
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どうでもいい話
yogiboの人をダメにするソファを買ってしましました。
更新ペースが下がるかもしれません。
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